2022年も残すところあと僅か。毎年の恒例行事と言うことで今年1年間を振り返ってみて、読書総括など。
今年は現在までに感想を書いた本は73冊。昨年は44冊感想をアップしているので読書量は昨年からすると大幅にアップした。これについては明確な理由がある。本の感想にの中にはアマゾンオーディブルで「聴いた」物が含まれているから。
私にとってアマゾンオーディブルの導入は2022年度にお金を払った物の中で最高に良かった。ここ数年「老眼で読書が辛い」と嘆いていた私にとってアマゾンオーディブルは救世主だった。
残念だけど老眼をかけたところで以前のように快適な読書は戻ってこない。
そんな中「朗読」という形であっても本に触れることが出来るのは幸せなことだ。アマゾンオーディブルを導入してからと言うもの、家事活動中はもっぱら本を聞いている。
朗読してもらうことで作品のイメージが固定化されることもあるし、そもそも全ての本がオーディブル化されている訳じゃないので読書のすべてをオーディブルに委ねることはできないけれど、それでも本を読まないよりも耳からであったとしても本に触れていたいのでオーディブルの使用は来年以降も続投していく。
2022年度に読んだ本
ノンフィクション祭り
今年は仕事に関係するようなノンフィクション本を沢山読んだ。感想を書いていないノウハウ系の本も多く、なんとなく…だけど生活が豊かになった気がする。
ノンフィクション系で1番心に残ったのは『ケーキの切れない非行少年たち』。私は今、障がい児支援の仕事をしている。私が支援するお子さん達は言い方は悪いけれど知的なり身体なりに分かりやすい障害を持っていて、様々な支援を受けることができる。
だけど世の中には微妙に支援の枠から外れてしまういわゆる「グレーゾーン」の人もたくさんいるのを感じる。生活保護のケースワーカーをしている親友の話を聞いてもグレーゾーンの人は多くて『ケーキの切れない非行少年たち』はその類の問題に斬り込んだ名著だと思う。
世間には「生活保護受給者は働かないクズ」と言う人がいるけれど、親友いわく「働かないんじゃないんだよ。働けないんだよ。もうね…びっくりするほど当たり前のことができない人達なんだよ」とのこと。
『ケーキの切れない非行少年たち』は「じゃあ、国や私達はどうすれば良いのか?」ってところには突っ込んでいない。そのあたりのことは今後の日本のテーマになってくると思う。
サスペンス系をたくさん読んだ
今年はサスペンス系の作品の割合が多かった気がする。サスペンス…とまではいかなくても、殺人や犯罪を扱った作品。これはオーディブルを導入したことも影響している。大衆文学系って、不思議と殺人と恋愛が多いのだ。
色々読んだ中で特に良かったのは『テスカトリポカ』と『身分帳』の2冊。
『テスカトリポカ』はグロ描写強めと言うかハードボイルドと言うか、何とも濃厚な話だった。オカルトと血と暴力とヤクザと金。エグいと言えばエグいけど疲れた脳に効くぅ~って感じ。
『身分帳』は最近の作品ではなくて、書かれたのも一昔前…って感じで全般的に古びた感じではあったけど、出所後の元受刑者の生活がテーマ。『ケーキの切れない非行少年たち』と合わせて読むとより面白いと思う。犯罪を考える…て意味で素晴らしい作品だし、そうじゃなくても家族とか人間を考えさせられる作品だった。
谷崎潤一郎を復習する
Amazonオーディブルで谷崎潤一郎を聴き直ししたのも良い経験だった。『鍵』『卍』『細雪』の感想をアップしたけど、以前に感想をアップしている作品も聴き直したので実際はもっと聞いている。
お風呂で湯船に浸かりながら聞く『刺青』は控えめに言って最高だった。
20代の頃、谷崎潤一郎文学にハマって読み漁った時期があるけど50歳になった今になって復習すると当時憧れていた感情は消えてなくなっていて、谷崎潤一郎の幼稚さを感じるようになっている。「あらあら…谷崎さんったら、こんな年になっても子どもっぽいことを考えちゃうのね。ふふっ」みたいな。
年を重ねて改めて触れる谷崎文学は私にとって様々な発見があった。
来年以降の読書
オーディブルのおかげで沢山の本にふれることができて本当に良かった。来年以降、オーディブルへの依存度はさらにアップする気がする。
今年はなんとなく雑食な感じの読書になっていて「1人の作家を重点的に追う」ってことをしなかった。
毎年「この作家は推せる!」みたいな激熱な人が登場するのだけど、今年はそういう事はなかったのが残念。
「これからも読みたい」くらいの人はいたものの、次回作が楽しみで仕方がない…ってほどじゃなかったんだよなぁ。来年は心熱くなるような作家との出会いを期待したい。
来年も良い読書が出来るといいな…ってことで、今年の読書総括を締めさせて戴く。
新しい本の話
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