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ミラーワールド 椰月美智子 角川書店

ちょっと待ってよ椰月美智子。どうしちゃったの、この雑な仕事っぷりは?

『ミラーワールド』は近未来で「男女の役割が逆転している」って設定の物語。男性が主夫として家で家事と育児を担当し、女性が社会に出て働く。

男女逆転設定は漫画だけど、よしながふみ『大奥』等、ある…と言えばあるけれど『ミラーワールド』の世界観は戴けなかった。

私は椰月美智子が好きだけど今回はディスりまくりの感想になるので、そう言うのが苦手な方はスルーしてください。

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ミラーワールド

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ザックリとこんな内容
  • 物語の舞台は女が外で稼いで、男は家を守るのが当たり前…と言う男女逆転設定の現代日本。
  • 主人公は3人。学童保育で働きながら主夫をする池ヶ谷良夫。勤務医の妻と中学生の娘と息子のために尽くす中林進。妻の実家に婿入りし義父とともに理容室を営む澄田隆司。
  • 3人の男達は鬱屈した毎日を送っていたが、ある日事件が起こり……

感想

椰月美智子が男女逆転の世界を描きたかった気持ちは分かる。だけど、あまりにも仕事が雑過ぎる。男女を逆転させるなら、それ相応の設定が必要だと思う。

例えばよしながふみの『大奥』の場合「男性しか罹患しない伝染病で男性の数が激減した日本」と言う設定だったので、女性が社会に出て働く必要があった。しかし『ミラーワールド』では「昔は男性優位の社会だったけれど、それじゃ駄目だ…ってことで女性優位の社会に切り替わった」と言う謎設定。

「男性優位の社会が糾弾された」って設定自体100歩譲って理解できるが、それにしても女性優位の社会になって、女性が男性を虐げて好き勝手する社会になった…ってところは理解できない。

実際『ミラーワールド』で描かれていた物語は男性と女性が丸っとひっくり返っただけで、それこそ『ヤフー知恵袋』とか『大手小町』とか『ママリ』に出てきそうな主婦の愚痴ネタを主夫に置き換えただけ…って感じだった。

そして最も納得できなかったのは「妊娠・出産」のターンは無視している…ってところ。「女性は産むだけで育児は男性」となっていたけれど、子育てしたことのある人間なら「そんな単純にいくかな?」と首を傾げざるを得ない。

私は「女性には母性があるから育児は女性の仕事」とは思っている訳じゃないけれど、世の中には一定数「妊娠が分かったとたん母性が暴走するタイプの女性」ってのがいるし「この人は子育てするために生まれてきたのかな?」としか思えないほど、子どもを育てるのが大好きな女性がいる。

また、出産直後、ガンガンに働くことのできる女性はあまりいないと思う。出産直後の女性を舐めるなよ…って思ってしまった。そりゃあ出産直後から働く女性もいるけれど、同じパフォーマンスで働ける訳がない。出産の問題はガン無視で「女性が働く社会」を描いているのはどうかと思った。

それに子どもに対する性的な事件を突っ込んできたのも戴けない。そんな簡単に扱うようなネタじゃないと思うのだけどなぁ。ラーメンの「全部乗せ」じゃあるまいし、何でもかんでも乗せておけば良い…ってものじゃない。

テーマの選択と言い、作品の方向性と言い、下品に思えてならない。

どうしちゃったの椰月美智子?

こんな方向でいくなら今後は遠慮したい。1つ気に食わない作品があったからって「もう2度と読まない」とは思わないけれど、次の作品次第で追いかけるのをやめるてもいいかな…って気持ちになった。

最初から最後まで残念な1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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