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ななみの海 朝比奈あすか 双葉社

『ななみの海』は児童養護施設(昔で言うところの孤児院)で育った女子高生の物語。

作者の朝比奈あすかの前回書いた『翼の翼』は中学受験をテーマの作品なので『ななみの海』はその対極にあるテーマとも言える。

私自身、児童福祉施設で働いている…と言うこともあって『ななみの海』で描かれているテーマは興味深く、巷では大絶賛っぽいので期待していたけど、イマイチ期待外れだった。

今回は盛大にdisっていくので、朝比奈あすか好きな方は遠慮して戴いた方が良いかも知れない。

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ななみの海

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ザックリとこんな内容
  • 主人公は児童養護施設で暮らす女子高生の「ななみ」。
  • ななみは「馬鹿にされるな」という祖母の言葉を胸に、医学部進学を目指し受験勉強に励む。
  • ダンス部最後の発表会、初めての彼氏、進学費用のためのアルバイトなど、高校生活を色濃く過ごす、ななみの成長を描いた作品。

感想

まず大前提として「児童養護施設で育った子が医学部を目指す」と言う設定に無理がある。

「児童養護施設で育った子が医学部に進学した」って前例はあるので不可能ではないけれど、主人公のようにダンス部の部活もして、バイトもして彼氏とも付き合って…となると「おいおい。いくらなんでも無理だろ」としか思えなかった。

児童養護施設で育ったヒロインは本当に良い子なのだけど、物語に厚みが感じられなかった。物語が薄っぺらく感じてしまった理由は「俯瞰した視点がないから」ってところだと思う。

『ななみの海』の場合、最初から最後まで子どもの視点だけで物語が構成されているのだけれど、それでは「児童養護施設」という背景を描き切るには弱過ぎる。

最初から最後まで子どもの視点で書くのが悪い…とまでは思っていない。一人称でガンガン進めていくのであれば、主人公の内面を掘り下げていく必要があるのだけれど、そうでもない。登場人物が多く、エピソードも多くて1つ1つの要素が薄くなってしまっている。

児童養護施設を小規模化している実態を描いている…と言う意味では評価できるものの、小規模化した児童養護施設に潜む問題(たぶん取材の過程で分かっておられたとは思うのだけど)については一切触れられていないところも物足りない。

朝比奈あすかは期待していた時期もあったけれど『ななみの海』を読んで「もう読まなくてもいいかな」って思ってしまった。

普通に「イイハナシダナー」な小説を書く作家さんだけど文学と呼ぶには、ほど遠いな…って気がする。

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白い木蓮の花の下で
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