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臆病な都市 砂川文次 講談社

砂川文次は初挑戦の作家さん。元自衛官で『ブラックボックス』で第166回芥川龍之介賞を受賞している。

『ブラックボックス』はまだ図書館に入っていなかったので、少し前に話題になっていた『臆病な都市』を読んでみるとこにとした。

『臆病な都市』は未知の感染症がテーマの作品だけど、執筆されたのはコロナ前のことなので「コロナ前にこんな小説があったのか」的な感じで話題になっていたけれど、なんとなく気乗りがせず手に取らなかったのだけど、芥川賞作家…ってことで、読んでみることにした。

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臆病な都市

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ザックリとこんな内容
  • 新型コロナウィルスが流行する前に書かれた作品。
  • 鳥の不審死から新型感染症流行の噂が広がっていく…と言う設定。
  • 主人公の「K」は首都庁の総務局行政部市町村課地域連携係に勤務する公務員。
  • 行政の中で生きる公務員の姿と、感染症流行下の社会の姿を描く。

感想

最初に説明しておくけれど『臆病な都市』はコロナ前に書かれた作品だけど、カミユの『ペスト』のように、感染症に切り込んだ作品ではなくて「感染症のデマ」に支配された世界を描いている。

…って訳なので『臆病な都市』を読むのであれば「コロナ禍を先取りした作品」ではなくて「実態の分からない病気に対して右往左往する民衆を描いた作品」として読んで戴きたい。

今、リアルで起こっているコロナ問題よりも「子宮頸がんワクチンのデマ騒動」の方が似ているかも知れない。子宮頸がんワクチンは一時期マスコミの影響もあって「危険なもの」とされていたけれど、今は一転してワクチン接種が推奨されている。

主人公のKは首都庁に勤務する公務員。リアル設定に置き換えるなら都の職員。作者の砂川文次は元自衛官とのことなので「役所に勤務する人の大変さ」がリアルに描けていて、なんだか読んでいてイライラしてしまった。

いやぁ~お役所仕事って、どうしてあんなに融通が効かなくてトンチンカンなんでしょうね。

そしてマスコミの無責任さも的確に表現されていたと思う。

……と、ここまで褒めておいて言うのもなんだけど、世情を捉えられている…っことと、面白いと感じることは別の話で、あまり面白くなかった。

主人公のKは感情の起伏に乏しいタイプでKに関わる人達のことは触れられていない。Kと仕事とウィルスの話だけで構成されているのでドラマ性が低くて、誰かが書いた愚痴日記を読まされてるような気持ちになってしまった。

芥川賞受賞作の『ブラックボックス』は自衛隊を辞めて、自転車メッセンジャーをしている男が主人公とのこと。『臆病な都市』とは方向性が違うだろうから、図書館本の順番が回ってくるのを楽しみ待っていようと思う。

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白い木蓮の花の下で
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