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夜明け前 島崎藤村 岩波文庫

『夜明け前』は島崎藤村の代表作。「木曽路はすべて山の中である」と言う冒頭文はあまりにも有名だけど、私は50歳になるまで『夜明け前』を読んだことがなかった。

唐突に『夜明け前』を読んでみようと思ったのは今年(2022年夏)、『夜明け前』の舞台になっている木曽福島へ旅行に出掛けたから。

『夜明け前』の主人公、半蔵は馬籠宿の旧家の長男…って設定だけど、馬籠宿と木曽福島は中山道沿いにあって『夜明け前』の中でも木曽福島が描かれている。

私は実際に木曽福島を訪れて山深さと中山道沿に発展した山間の街並に驚いた。「こんな山の中が栄えるだなんてどうなってるの?」と思ったし、今のように便利なものが発展していない時代から、人は街道を通じて行き来していたことを実感した。

旅で見た景色などを思い浮かべつつ本を読むだなんて今までない本の読み方で私にとって新鮮な体験だった。

なお今回は文学史に残る定番の名作…ってことでネタバレ込の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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夜明け前

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岩波書店
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ザックリとこんな内容
  • 主人公の半蔵は馬籠宿(現在の岐阜県中津川市馬籠)の旧家に生まれて国学を学び、役人となるが発狂して座敷牢内で没した島崎藤村の父親・島崎正樹がモデル。
  • 米国ペリー来航の1853年前後から1886年までの幕末・明治維新の激動期の物語。
  • 馬籠宿に生まれた半蔵は国学に傾倒し、志高く生きようとするのだが…

感想

島崎藤村『夜明け前』。奮起して読んでみたは良いけれど「面白かったですか?」と言われると正直微妙だった。とにかく長い…長過ぎる。「司馬遼太郎の歴史小説は読みやすかったんだ』ってことを再確認した。

ただ私の場合「木曽福島に行ったから読んでみようと思った」と言うところがスタートだったので、小説を読む…と言うよりも、歴史とか時代風俗を学ぶと言う意味で面白かった。

山間の街道沿いに生きる人達の姿が生き生きとしていたり、街道を通じて情報や知識が入ってくるんだ…ってことなど、歴史の教科書では感じられない部分を感じることが出来たのは収穫だった。

主人公の半蔵は真面目な性格の男であると同時に、田舎の惣領息子として大切に育てられた分だけ、メンタルが豆腐の男だった。勉強が好きだ…ってことは理解できるし、時代の流れと自分が理想とするものが隔たっていく辛さも分かる。だけど「妻子がいる男がそんなに弱っちくてどうするの?」みたいな気持ちになってしまった。

『夜明け前』の前半部は歴史読み物として面白かったけれど、不幸が押し寄せてくる後半部は読んでいてイラっとした。物語の前半部、半蔵は若者だったけれど、後半は責任ある大人の男なのに転落していくあたり、私の嗜好に合わなかったのだと思う。

最後まで読んでみたものの『夜明け前』は私の好みの作品ではなかった。だけど「歴史や風俗を知る資料」としては面白いと思ったし「物語の舞台を訪れた上で本を読む」と言う体験は私にとって良い経験ではあった。

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白い木蓮の花の下で
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