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死刑にいたる病 櫛木理宇 ハヤカワ文庫

櫛木理宇の作品を読むのはこれで3冊目。先に読んだ『鵜頭川村事件』と『虜囚の犬』は「私好みだけど微妙にコレジャナイ」と思っていたけど、3冊目の『死刑にいたる病』はかなり好みだった。

「最高に好き。ハマってしまった」とまでは言えないまでも、シリアルキラー(異常な心理的欲求のもと、1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯)を描いた日本の作品してはよく出来た部類ではないかな…って気がする。

あらかじめ書いておくけれど、グロめの描写もあるのでグロ耐性がない人にはオススメできない。

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死刑にいたる病

ザックリとこんな内容
  • 鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也の元に連続殺人鬼・榛村大和から手紙が届いた。
  • 榛村大和は筧雅也の実家近くでベーカリー店を営んでいたが、10代の少年少女を8人殺害した罪に問われている。
  • 「罪は認めるが、最後の一件(この被害者だけが20歳以上)だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」と大和に頼まれ、雅也は事件の再調査をはじめるのだが……。

感想

『死刑にいたる病』を読了後に知ったのだけどシリアルキラーの榛村大和役に阿部サダヲを据えて映画化されていたみたい。なるほど「映画化しても面白いだろうなぁ」と思える作品だったし、アマゾンプライムで公開されたら映画版も是非観てみたいと思った。

「趣味の悪い話だなぁ~」と思ったものの「創作の世界だからこそアリ」と思える話であって『死刑にいたる病』のような事が実際に起こってしまうのは無しだと思う。それは「レクター博士は創作の世界にいるからアリだけど、実際にいたら困るよね」って感覚。

ちょっとご都合主義的な展開が気になるところではあるものの、そもそもサイコパスを描くとなると超人的な描写が必要になってくるので、そこは許容範囲。

『死刑にいたる病』は登場人物の設定が実によく出来ていた。

軸になる榛村大和はもちろんだけど、狂言回し役の筧井雅也もリアルで良かった。そして興味深かかったのが「榛村大和に翻弄される人々」の設定が現代社会が抱えている問題を上手く取り込んでいたいた…ってこと。

榛村大和は分かりやすいサイコパスとして描かれているものの、彼の周りにいて事件に巻き込まれていた人間達は「育ち」であったり「資質」に問題があって、犯罪に巻き込まれるのも仕方ないな…と思わせてくれるような作りになっていた。

  • 家庭の教育(親の愛情)に恵まれず自己肯定感が低い。
  • 知的ボーダー(知的障害ギリギリ)である。

数年前に『ケーキが切れない非行少年たち』と言う本が流行ったけれど、まさにそれ。犯罪は起こるべくして起こる…と言うか、犯罪を起こしてしまうにはそれ相応の理由があるのだな…と改めて思った。

肝心の内容についてなのだけど、ネタバレ抜きでミステリ小説の感想を書く場合「どこまで書くのか」が難しいのだけど「最後のひと押し」以外の部分は私好みの展開だった。たぶん「あえて」付け加えたのだろうけれど「最後のひと押し」はわざわざ書かなくても読者には想像できるのだし、なんかこぅ…もう少し違った表現で示しても良かったんじゃないかと思った。

グロい描写もあるにはあるけれど、比較的軽めの文章でテンポが良いので一気読みに向いた本だと思う。櫛木理宇の作品は今後も追々とチェックしていきたい。

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白い木蓮の花の下で
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