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小銭を数える 文春文庫 西村賢太

お久しぶりの西村賢太。『苦役列車』に度肝を抜かれて以降、夢中になって読みふけった時期があったけれど、最近はすっかりご無沙汰していた。

西村賢太には他の作家には無い強烈な魅力がある人だけど、それ以上に「どこを切っても金太郎飴」のような「どれを読んでも西村賢太」って感じ。なので物語のパターンが少なく、一定数量の作品を読んでしまうと「ああ…またこのパターンね」みたいな気持ちになってしまうのだ。

今回『小銭をかぞえる』を読んでみたのは今年は西村賢太が亡くなったので年内に1冊読んでおきたいな…と思ったから。西村賢太の享年は54歳。死んでしまうには早過ぎる年齢だけど、彼の生活を見ていたら(読んでいたら)、「さもありなん」としか思えない。

「太く短い人生」の教科書のような作家さんだなぁ…と思うと同時に、こんなタイプの小説家は日本の文学界にしばらく出てこないだろうな…とも思う。

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小銭を数える

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ザックリとこんな内容
  • 表題作と『焼却炉行き赤ん坊』が収録されている。
  • 表題作は女にもてない私は相思相愛になった女と同棲生活はじめるが、女に対して暴言と暴力は収まらない…。
  • 『焼却炉行き赤ん坊』は女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる物語。

感想

表題作の『小銭をかぞえる』にしても収録されている『焼却炉行き赤ん坊』にしても安定の西村賢太節で特に新しい発見は無かった。

西村賢太の作品は「どこを切っても西村賢太」でしかなくて、クズ男が暴力と暴言を炸裂させるだけの話でしかない。西村賢太…やはりクズ過ぎる。てか西村賢太と付き合う女性はどんな業を背負って生まれてきたのかと不憫に思う。

「じゃあ、なんでそんなクズの書いた作品を読むの?」って話だけど、西村賢太が人としてクズだ…って事と、彼が作家として素晴らしいのは別だから…って話。

好き嫌いはさておき。西村賢太は最近の日本文学界の中では他の追随をゆる際なレベルの天才だと思っている。西村賢太は努力の人である村上春樹とは対局にある作家。

個人的な話になるけど私が「クズな作家が大嫌いなくせに愛情のような物を感じてしまうのは私の父が印刷機械を売買する仕事をしていて、その付き合いで「自費出版をしている人」が何だかんだ家に出入りしていたからだと思う。

私。趣味は読書だし小説は大好きだけど小説家とか詩人に対する幻想は持っていない。

私の知っている文学者はだらしなくて、いい加減でお金にルーズだった。子どもだった私に「お嬢ちゃんは本が好きなんだって?これ読んでみて」と面白くもなんともない詩集を渡してくれて、タダ酒を飲んで悦に浸るタイプの人ばかりだった。死ぬまで名前の出ない人の方が多かったけれど、大学の先生だったり、世間的に名を知られている人なんかもいた。

「文学者なんてロクなもんじゃんいな」と確信した子ども時代の思い出と共に、当時知り合ったクズな人達との交流を懐かしむ気持ちがあるので私は西村賢太を嫌いになれないのだと思う。

久しぶりに読んだ西村賢太は「いつものアレ」でしかなかったけれど、私にとって特別な作家であることは間違いない。彼のような小説家はしばらく出て来ないだろうなぁ…と思いつつ、強烈な作品を世に生み出してくれたことに感謝する。

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白い木蓮の花の下で
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