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くるまの娘 宇佐見りん 河出書房新社

宇佐見りんの作品を読むのは第164回芥川龍之介賞を受賞した『推し、燃ゆ』に続いて3冊目。

『くるまの娘』はアイドルの炎上事件を描いた『推し、燃ゆ』とは雰囲気が違っているので『推し、燃ゆ』から入った人はちょっとビックリするかも知れない。だけど『かか』を読んだ人なら「ああ…この路線か」と納得できると思う。

『くるまの娘』は「家族」をテーマにした作品なのだけど家族と言ってもハートフル路線ではなく、ちょっと嫌な感じのする物語だった。

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くるまの娘

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ザックリとこんな内容
    • 不登校の高校生の「かんこ」は怒ると暴力をふるう父と、脳梗塞の後遺症で記憶障害に悩む母との3人家族。兄と弟は結婚や進学を機に家を離れていた。
    • 祖母が亡くなったことで葬儀に参加するために兄と弟が戻ってくる。
    • 父の実家へ向かうため、かんこ達は車中泊の旅をする。かんこ達家族は家族旅行でよく車中泊をしていたのだった。
    • 母は「いいね、たのしいね」とはしゃいだりするが、些細なことで傷つき、荒ぶり、旅の様相が変わっていく。

感想

『くるまの娘』を読んでまず思ったのは「宇佐見りんって人は現代を生きる作家さんなのだなぁ」ってこと。今のところ宇佐見りんが追いかけているテーマは「家族」みたいだけど、色々と「現代」を盛り込むのが上手い。

かつて宇佐見りんのポジションは姫野カオルコだった。しかし姫野カオルコは昭和&平成の作家で、令和の時代にはそぐわない。そんな中、芥川賞を引っ提げて乗り込んできた宇佐見りん。家族の闇を描くニューヒロインの登場…って気がする。

まず主人公を「不登校の女子高生」に据えたところが上手い。そして母親が脳梗塞の後遺症に苦しんでいる…と言う設定も効いている。そもそも不登校だけでも作品のテーマになるし、母親が脳梗塞の後遺症に苦しんでいて家族もその影響を受ける…みたいなエピソードだけでも作品のテーマになる。だけど、それを両方乗せてきているのだから「そりゃあ、引き込まれる人が多いよね」って話だ。

最近、私は色々作品に対して「全部乗せし過ぎて訳が分からない作品になっている」って感想を書くことが多いけれど、宇佐見りんは乗せ方のバランスがとても良い。たぶん、これ以上乗せちゃうとグダクダになってしまったと思うのだけどギリギリのところでバランスを保っているのが凄いと思った。

とにかく上手いのだけど「好きか嫌いか」と問われたら正直微妙な感じ。

10代の頃に宇佐見りんと出会っていたらハマったかも知れないけれど50歳の私にはちょっと興味が持てないと言うか、真顔で「いやいや。そう言う時はね…」と現実と照らし合わせて考えてしまうので、素直に楽しめないのだ。

だけど「今の日本で起こっていること」をしっかり描ける作家さんは宝だと思っている。宇佐見りんはこれからも書き続けてくれるだろうと思うし期待している。

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白い木蓮の花の下で
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