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哲学の蝿 吉村萬壱 新潮社

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『哲学の蝿』は芥川賞作家、吉村萬壱の自伝的エッセイ…とのことだけど、どこまでが本当でどこまでが創作なのか混乱してしまった。

……と言うのも。自伝と言うにはあまりにも内容が衝撃的過ぎた。むしろ「創作であって欲しい」と思ってしまうレベル。

猛烈に気持ち悪い吉村萬壱の作品はある程度、実体験に基づいたものなのだな…とは思ったけれど、なんだかこう…吉村萬壱が読者を煙に巻いて笑っているような気持ちの悪い作品だった。

今回はネタバレ込みの感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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哲学の蝿

ザックリとこんな内容
  • 芥川賞作家、吉村萬壱がデビュー20年目を記念して書かれた自伝的エッセイ。
  • 幼少期の家族も思い出から思春期のこと。
  • 文学へと向かっていった経緯や、創作への思いなどを綴る。

感想

兎にも角にも幼少期のエピソードが酷過ぎだった。

「幼少期に虐待を受けていた」と言う話はさほど珍しくないけれど、両親の性癖はどこからどこまでが本当なのか、読んでいて混乱してしまった。

  • 息子の顔の上に跨って股を近づける母
  • 息子の足を執拗に足で撫でます父
  • 日常会話を赤ちゃん言葉交わす両親

特殊性癖があまりにも…って感じで、気持ち悪いマックスだった。そして幼少期の経験は吉村萬壱の性癖にも大きな影響を及ぼしてくる。

私がはじめて吉村萬壱を読んだのは『臣女』なのだけど、主人公夫婦はどこか両親をイメージして書いた作品なのかも知れないな…なんてことを思ったりした。

前半は異様な家族が描かれていて、そこから思春期の思い出へと移行していく。独特の友人関係やオカルトにハマったエピソードなど「吉村萬壱らしいなぁ…」って感じではあったけけど、思春期部については家族のエピソードほど衝撃的ではなかった。

中盤移行は教師時代の思い出と共に、吉村萬壱が文学へと向かっていく姿が描かれている。ここからは比較的読みやすかった。正直言って、家族とか友達としては遠慮したいタイプだな…と思ったけれど文学者としては魅力的。行動から考えていることから一事が万事クレイジー。

最後まで『哲学の蝿』を読んで気になったのは「どこからどこまでが実話でどこからどこまでが創作なんですか?」ってこと。

読み終えて「うわぁぁぁ」と声を上げて発散したいような気持ちになってしまった。吉村萬壱が好きな方にはオススメしたいけれど、そうじゃない方にはオススメしない。どちらかと言うと気持ち悪い系の作品なので、ご利用は計画的に。

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