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細雪 谷崎潤一郎 新潮文庫

谷崎潤一郎の『細雪』は若い頃に読んでいるけれどアマゾンオーディブルで聴き直してみることにした。老眼に優しいアマゾンオーディブル…新潮文庫の細かい文字を読むのが厳しくなってきた老眼の私には本当にありがたい。

さて。『細雪』と言うと谷崎潤一郎作品の中では1番知名度が高いと思う。何度となく映画化されているので「映画の印象の方が強い」って人も多いのではないだろうか。

私は谷崎潤一郎スキーだけれど『細雪』は谷崎潤一郎作品の中では「イマイチ好きじゃない作品」だった。

今回、改めて触れてみたことで、若い頃に読んだ時とは感想が変わっているものの、それでも、やはり『細雪』は私にとって「イマイチ好きじゃない作品」であることに変わりはなかった。

『細雪』はもはや古典の扱い…ってことで、ネタバレ込みの感想になるためネタバレNGの方はご遠慮ください。

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細雪

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ザックリとこんな内容
  • 物語の舞台は第二次世界大戦前の日本。大阪の旧家(蒔岡家)を舞台に4姉妹の日常生活の悲喜こもごもが描かれている。
  • 蒔岡家の長女の鶴子、次女の幸子、三女の雪子と四女の妙子のうち、雪子と妙子は未婚で本家(鶴子)と分家(幸子)を行き来してた。
  • 未婚の2人の見合い&恋愛を軸に大阪の風俗と旧家の生活が鮮やかに描かれている。

感想

小説は年数を経て久しぶりに読みなおすと感想がガラリと変わっていることが多いのだけど『細雪』については初めて読んだ時の感想とほとんど変わらなかった。

「谷崎潤一郎の代表作…って言われているけど、そんなに良いか?」

……これに尽きる。谷崎潤一郎って人は長編よりも短編の方が面白い気がする。『刺青』とか『秘密』とかエッチの極みで最&高。それに較べると『細雪』は俗っぽい上に切れが悪い。

ただ、改めて読んでみて気が付いたことがある。

もしかして『細雪』は橋田壽賀子の『渡る世間は鬼ばかり』と同じ方式なのでは?

正しくは『渡る世間は鬼ばかり』が『細雪』のパターンにハマっていると言うべきなのだけど、ブルジョア家庭を描くのか、庶民的な家庭を描くのはの違いはあるものの、何度も同じパターンで「とある家庭で起こった厄介なエピソード」が繰り返される。

『細雪』の場合は三女の雪子の縁談がメインになっているので『渡る世間は鬼ばかり』よりもテーマは狭いせいか、半分を過ぎたあたりから「ああ…どうせまた同じパターンなんでしょ?」と言う気持ちになってしまうのだ。

『細雪』はブルジョア家庭が舞台で『渡る世間は鬼ばかり』はラーメン屋を営む家庭が舞台になっている。だけど、どこのご家庭も中に入ってみると「人に聞かれたくない話」の1つや2つはあるもだ。一族の中にしっかり者がいれは、クズもいる。面倒事だって起こる。思うに。『渡る世間は鬼ばかり』を楽しめる人なら『細雪』も楽しめる気がする。『細雪』が何度も映像化されているのもなるほど納得。

それはそれとして。作品の中に自分の大好きをみっしりと詰め込んくるあたりは「流石は谷崎潤一郎」って気持ちにはなった。

『細雪』は一応、四姉妹物語だけど主人公は明らかに三女の雪子だし、雪子は谷崎潤一郎好みの女で足フェチの谷崎潤一郎は雪子の足のエピソードをしっかりねじ込んできていて、なんとも微笑ましい。

「俺様の好きな物を俺様が好きなようにてんこ盛りにしてやったぜ」な感じが『細雪』の魅力…と言えば魅力なのかも知れない。

さて。今に始まったことではないではないけれど『細雪』と言うと「ラストはどうして雪子の下痢の話で終わっているのか問題」を置き去りはできない。

谷崎潤一郎は『源氏物語』を意識して物語のラストを曖昧にした…って説が語られがちだけど、彼自身は「源氏物語の影響を全く受けていない…とは言わないけれど、意識して書いた訳じゃない」と語っているので『細雪』のラストは『源氏物語』の模倣ではないと思う。

「もしかして…書くのが嫌になって辞めちゃったんじゃない?」第二次世界大戦がヤバくなってきて、モンペをはいて竹槍を振り回す四姉妹の姿なんて谷崎潤一郎の好みではないような…なんて。

私にとって『細雪』は谷崎潤一郎作品の中では「イマイチだな」と思ってしまう部類ではあるけれど、それでも谷崎潤一郎ワールドは大好きなので追々と他の作品も読みなおしたいと思っている。

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白い木蓮の花の下で
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