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雨はあした晴れるだろう 三浦綾子  三浦綾子記念文化財団

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ある日、図書館で三浦綾子の見たことのない作品を目にしたので迷うことなく手に取った。

『雨はあした晴れるだろう』は現在、角川文庫版は絶版状態。 三浦綾子記念文化財団から復刊シリーズが出ていて、それが行きつけの図書館に並んだところを見つけた…って流れ。

三浦綾子と言うと『氷点』と『塩狩峠』が有名だけど、著作数が膨大あって文庫本だけでも大変な数が出ている。私は一時期、三浦綾子フリークだったので相当読んだと思っていたけど「まだ読んでいない作品があったんだ!」と興奮してしまった。

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雨はあした晴れるだろう

ザックリとこんな話
  • 三浦綾子初期のジュニア向け小説を中心とした中・短編集。合計6作品が収録されている。
  • 『雨はあした晴れるだろう』高校3年生のサチコの日記形式で綴られる物語。義兄への恋心を描く。
  • 『この重きバトンを』年をとってからできた息子への、父からの手紙。
  • 『茨の蔭に』札幌近郊の町の、町長選挙をめぐる駆け引きと巻き込まれる家族の苦悩がを描く。
  • 『片隅のいのち』知的障害を持つ波夫の短い人生を描く。
  • 『長いトンネル』『カッコウの鳴く丘』大人に翻弄される子ども達の姿を描いた作品。

感想

三浦綾子は著作数が多いけれど、実のところ面白い作品は限られている。一時期は「三浦綾子のストーカーかよ?」って勢いで読み漁っていた私が言うのだから間違いない。

残念だけど『雨はあした晴れるだろう』は面白くない部類の作品だと思う。初期に書かれたジュニア向け作品…ってことなので「仕方ないな」ってところではあるけれど、文章が薄くて面白味が感じられなかった。

どの作品も「三浦綾子らしさ」はあるし、一貫している部分はあるものの、どれもこれもが物足りない。

今の時代にそぐわない作品ばかりだった…って部分もあると思う。

『塩狩峠』は時代設定が現在ではなかったし『氷点』は昭和設定ではあったけれど、物語の本質は「原罪」とか言う重いテーマで主人公達の学校生活はあまり触れられていなかったので「よく分からいけどドラマチックな話」ってことで押し切る事ができていた。

しかし『雨はあした晴れるだろう』に収録された作品の多くは、中学生だったり高校生が主人公。今を生きる子ども達とのズレが激しく、心情に寄り添うことが難しかったが『この重きバトンを』だけは時代要素があるので自然に読むことが出来た。

ちょっと今の感覚とズレる人間が登場しても、現代人に丁稚奉公をしている少年の気持ちなんて推し量りようがないので「なんて健気な少年なんだ…」と思えるけど、感覚のズレた人間が女子高生だったりすると「ちょ…無理…」みたいな気持ちになってしまう。

……そんな訳で『雨はあした晴れるだろう』は決して面白い1冊とは言い難いけれど、1人の作家を体系的に読み進めるためのヲタク的アイテムとしては素晴らしい。そして何より「三浦綾子のような作家でもツマンナイ作品書くんだな」って事実を知るのも悪くない。

多作の作家さんって、野球少年が延々と素振りを繰り返すように新しい作品を産み出していくのだなぁ…と思うと感慨深いものがある。

「面白いか面白くないか」と聞かれたら「面白くない」としか言えないけれど、三浦綾子フリークなら読んでおいてもいいんじゃないかな…と思える1冊だった。

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