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卍 谷崎潤一郎 新潮文庫

』に続いてアマゾンオーディブルで谷崎潤一郎の聴き直しなど。

『卍』は女性同士の同性愛を扱った作品だと聞いていて、はじめて手に取った時はものすごくワクワクしたものだけど「う~ん。思ってたのとは違う。コレジャナイ」みたいな感想しか持てず、谷崎潤一郎文学の中では印象の薄い作品だった。

だけど今回、改めて向き合ってみて、ちょっとだけ当時とは感想が変わっている。なお感想が変わった…と言っても「ちょっとだけ」なので個人的には谷崎潤一郎の作品の中でイマイチ好きじやないってところは変わっていない。

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ザックリとこんな内容
  • ヒロインの園子による「先生」への告白録という形式の作品。
  • 日本画の趣味を持つ園子は夫・孝太郎にすすめられて女子技芸学校に通う。そこで、他教室の徳光光子にひそかな好意を寄せるようになる。
  • 園子は無意識のうちで楊柳観音の絵を徳光光子に似せ、それがきっかけで彼女と面識を持つ。そうして楊柳観音の絵を皮切りに、学校では「2人が同性愛の関係にあるのではないか」という噂が広まった。
  • 当初は根も葉も無い噂だったのに会うたびに2人の親密度は増していき「姉妹」を名乗る関係とななる。
  • そんな中、光子の妊娠が判明。光子と婚約していた綿貫栄次郎が園子の前に現れ、光子との関係を強化するために誓約書を作るのだが…

感想

『卍』は「谷崎潤一郎の筆による女性同士の同性愛作品」などと紹介されることが多いのだけど、改めて読んでみると「女性同士の同性愛作品」ではなくて「美しい女性の間に挟まりたい変態谷崎潤一郎が性癖を爆発させた作品」なのだと思う。

世の中には色々な性癖があって「女同士の間に挟まりたい男性」と言う人が存在するようだけど、谷崎潤一郎もその中の1人だったのだろうなぁ…って気がする。

同性愛の描き方については女性視点で読むと通り一遍のありふれた物でしかなかったし「精神的な愛」とか「男女の愛より崇高な」とみたいな書かれていたけれど、一ミリたりともグッとくる部分はなかった。

『卍』を読んで興味深いな…と思ったのは谷崎潤一郎が理想とする女性像は『痴人の愛』の谷崎潤一郎の妻、千代の妹小林せい子をモデルとした「ナオミ」とその派生形なのだろうなぁ…と感じたところ。

  • 基本的に若い女性。
  • めちゃくちゃワガママで自分勝手。
  • 猛烈な美貌(谷崎潤一郎視点で)
  • 人の心を弄ぶ系の悪女。

特に最後の項目に入れた「人の心を弄ぶ系の悪女」ってところはポイントが高そう。

この年になって読んでみると、ちょっぴり呆れながらも「ここまで好きを追求出来るって凄いな」とは思った。だけど好きか嫌いかと言われると「変態爺の妄想に付き合ってられんわ!」みたいな気持ちになったのも事実だ。

思うに…もしヒロインである園子が光子を本気で愛していたのなら、あんなオチには至らないと思う。あのオチでいくとするなら園子が光子に抱いた愛は「火遊び」程度のものだったのだと思う。

谷崎潤一郎は自分の作品の中に「エス」とか「百合」の世界を取り入れたかったのだと思うのだけど、そちらの方面については昨今の男性エロ作家と大差ないな…って気がした。

……と言いたい放題書いてはいるものの、エッチで艶やかな描写は素晴らしいし何度も映画化される理由も納得できる。

谷崎潤一郎の作品については今後も追々と見直していきたい。

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白い木蓮の花の下で
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