毎年、恒例行事と言うことで今年1年間を振り返ってみての読書総括など。
今年は現在までに読んだ本は65冊。
昨年は64冊読んでいるので、ほぼ例年通りのペース。たぶん、もうこれ以上沢山読むのは無理だと思う。1年間に100冊ほど読んでいた時期もあったけど、あれは遠い日の花火。
今年読んだ本のタイトルはこんな感じ。
嘘つき鳥 | 久世光彦 |
迷い家 | 山吹静吽 |
回遊人 | 吉村萬壱 |
ファミリーデイズ | 瀬尾まいこ |
いつかあなたも | 久坂部羊 |
婚活中毒 | 秋吉理香子 |
カネと共に去りぬ | 久坂部羊 |
焼け跡のハイヒール | 盛田隆二 |
高架線 | 滝口悠生 |
女王様の夜食カフェ マカン・マランふたたび | 古内一絵 |
意識のリボン | 綿矢りさ |
風と共にゆとりぬ | 朝井リョウ |
ドレス | 藤野可織 |
百年泥 | 石井遊佳 |
オリンピックがやってきた 1964年北国の家族の物語 | 堀川アサコ |
口笛の上手な白雪姫 | 小川洋子 |
ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで | 真梨幸子 |
無垢の領域 | 桜木紫乃 |
嘘 Love Lies | 村山由佳 |
路上のX | 桐野夏生 |
君の膵臓をたべたい | 住野よる |
クローゼット | 千早茜 |
雪の階 | 奥村光 |
なでし子物語 天の花 | 伊吹有喜 |
なでし子物語 | 伊吹有喜 |
5時過ぎランチ | 羽田圭介 |
幼年 水の町 | 小池昌代 |
みなさんの爆弾 | 朝比奈あすか |
じっと手を見る | 窪美澄 |
食堂メッシタ | 山口恵以子 |
天龍院亜希子の日記 | 安壇美緒 |
ひっ | 戌井昭人 |
偽姉妹 | 山崎ナオコーラ |
私の頭が正常であったなら | 山口朝子 |
あんずの木の下で | 小手鞠るい |
ヲトメノイノリ | 石田千 |
影裏 | 沼田真佑 |
真夜中の子供 | 辻仁成 |
夫のカノジョ | 垣谷美雨 |
不惑のスクラム | 安藤祐介 |
炎の来歴 | 小手鞠るい |
さしすせその女たち | 椰月美智子 |
エンディングドレス | 蛭田亜紗子 |
寂しい生活 | 稲垣えみ子 |
黒のショートショート | 山口タオ |
ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係 | 真梨幸子 |
六月の雪 | 乃南アサ |
間取りと妄想 | 大竹昭子 |
七十歳志望法案、可決 | 垣谷美雨 |
鵜頭川村事件 | 櫛木理宇 |
しき | 町屋良平 |
ももこの21世紀日記〈N’06〉 | さくらももこ |
夜の谷を行く | 桐野夏生 |
愛すること、理解すること、愛されること | 李龍徳 |
鏡じかけの夢 | 秋吉理香子 |
四十歳、未婚出産 | 垣谷美雨 |
銀橋 | 中山可穂 |
90歳。何がめでたい | 佐藤愛子 |
花まみれの淑女たち | 歌川たいじ |
ののはな通信 | 三浦しをん |
始まりの家 | 蓮見恭子 |
地球星人 | 村田沙耶香 |
ふたりぐらし | 桜木紫乃 |
旅猫リポート | 有川浩 |
アンドロメダの猫 | 朱川港人 |
私にとつて今年は不作の年だった。
以前「今年は本のアタリが悪い」と愚痴を書いたけれど、その後『地球星人』とか『ふたりぐらし』に出会えたのは救いだった。この2冊は私の好みのド真ん中。このまま今年が終わっていたら「2018年の読書は何だったんだよ…」って感じで終わってしまうところだった。
私はどちらかと言うと「この人を推す」決めた作家を続けて読んでいくスタイルなのだけど、今年面白い本に出会えなかったのは推し作家の低迷が原因。
スランプなのか、それとも人気者になっちゃって仕事が雑になったのか。嘆かわしいことこの上ない。
読書は世の中に沢山ある趣味の中でも極めて人任せで受動的なのが弱点だと思う。だって、自分で書けないんだもの。誰かが良い作品を書いてくれないと楽しめないとか! 他人の創作物を消費していくだけだなんて、なんと業の深い趣味なんだろう。
……などと、嘆いてばかりいても仕方がないので、中でも良かった本を記しておこうと思う。
辻仁成の『真夜中の子供』は圧倒的に面白かった。博多の街が舞台の作品なのだけど、博多の街で生きる人達が生き生きと描かれていて「なるほど…辻仁成は博多出身なんだ」と感心してしまったほどだ。ちなみに辻仁成は博多出身ではなく、東京都出身。小説家の表現力を思い知らされた作品だった。
初挑戦の作家さんだと千早茜の『クローゼット』が良かった。この作品、小川洋子と、全盛期の嶽本野ばらを足して2で割ったような世界観。小川洋子か嶽本野ばらが好きな人なら何某か刺さるのではないかと思う。乙女の浪漫が満載過ぎてたまらない1冊。
乃南アサ『六月の雪』も良かった。乃南アサと言うとミステリなのだけど、この作品はミステリではない。台湾を舞台にした成長小説で乃南アサの心意気が溢れ出る1冊。こういう熱い作品はなかなかお目にかかれない。
そして先にも書いたけれど村田沙耶香の『地球星人』と桜木紫乃の『ふたりぐらし』は期待通りの面白さだった。村田沙耶香と桜木紫乃は、現在活躍している女性作家さんの中では群を抜いて上手いと思う。このままイケイケで突っ走って欲しい。このお二方には来年も期待している。
2019年は、どこかのタイミングで宮本輝『流転の海』をイッキ読みしたいと思っている。
『流転の海』は宮本輝が36年かけて2018年に完結した。
最初の数冊は読んでいるけれど、続きが出ないのが嫌になって「完結してから読もう」と投げ出してしまった。新潮文庫版で何冊か手元にあるけれど、老眼化した今の私に昔の新潮文庫を読むのは無理過ぎる。読むなら図書館でハードカバーを借りるつもりだ。
今年は人生レベルで心揺さぶれるような作品には出会えなかった。私の本の選び方が悪いのかも知れないし、単に巡り合わせが悪かっただけなのかも知れない。来年は良い作品との出会いに期待したいと思う。