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君の膵臓をたべたい 住野よる 双葉社

題名のインパクトで出版された時にギョッっとした覚えがある。その時は「私、ちょっとカニバリズムとか無理なんでパス」と思っていたのだけれど、後から恋愛ものらしいと聞き「なるほど…あえてあんな題名を付けたのか」と関心した記憶がある。図書館のオススメコーナーに並んでいたので、今更ながら読んでみた。

今回はネタバレ全開で感想を書くので、ネタバレが嫌いな方はご遠慮ください。

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君の膵臓をたべたい

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ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。

そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。

読後、きっとこのタイトルに涙する。

アマゾンより引用

感想

読んで感心したのは「作者は頭の良い人なんだなぁ」ってこと。

この作品は映画化、映像化前提で書かれたのだと思う。私はそこそこ流行ってから読んだので前知識として「難病・悲恋・恋人死ぬ」みたいな設定は知った上で手に取った。

なのである程度構えて読んだのだけど、意外と楽しむ事が出来た。

青春恋愛小説としてはよく出来ていると思う。

主人公は人嫌いの文学少年。余命いくばくもないヒロインとか変わっていくことで、成長していく姿は嫌いじゃない。ただし非常にラノベ的ではある。

「取り立てて取り柄の無いボクが何だか分からないけれど美少女とお付き合い出来ことになりました」なんて「遅刻しそうだと食パン咥えながら走っている女の子がイケメンにぶつかって恋に落ちる」くらいの感覚だ。

なので、こういうお約束が大丈夫な人しか読めないし、ここで「無いわぁ~」となってしまう人は読まない方が良いと思う。

難病物だけど話自体は明るくて、湿っぽさは感じなかった。

ただこれはヒロインの病気が現実にはあり得ないものだからだと言うところが大きい。

読後に「余命宣告されているけど、普通に生活出来て元気そうだし、食事制限も無いし、パッっと見は普通」なんて都合良い難病があるんだろうと気になって調べてみた。

医療関係者達はこぞって「そんな都合の良い難病はない」との意見を書いていて「そうだよねぇ~」と思ってしまった。

この作品は難病物の暗さや辛さが全く無くてサラサラっと読めてしまうのだけど「ありえない病気」だからこそ出来る力技だと言える

あえて、こういう題名を付けて、あえて、ありもしない難病をでっち上げてまで自分の描きたかった世界を構築した作者は素晴らしいと思う。

そして衝撃(?)のラストである。

ありもしない難病を作り出したにも関わらず、ヒロインは通り魔に刺されて死んでしまうのだ。オバチャン、もう何を信じたらいいのか分からなくなっちゃったよ。

正直、ここまで色々と強引な設定にしなくても良かったと思う。

青春恋愛小説としては普通に良かった。成長小説としてもアリだと思う。それなのに都合の良過ぎる設定過ぎて失笑を禁じ得ない。

普通の恋愛小説として読むのではなく「私達が住んでいる世界とは異次元の世界。ここではない、どこかの日本が舞台の恋愛小説」として読むならアリだとは思うのだけど。

作者の意気込みと度胸は買うけれど、なんだか色々と残念な作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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