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真夜中の子供 辻仁成 河出書房新社

これは面白かった!

私が今年、読んだ本の中ではダントツでの1位だ。この上半期は本のアタリがイマイチだった…と言うことを差し引いても面白かったし、辻仁成の新しい代表作になると思う。

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真夜中の子供

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ザックリとこんな内容
  • 舞台は福岡県の中洲。「真夜中」を生きる無戸籍の少年、蓮司が主人公。
  • テント暮らしの源太、心優しい客引き・井島、お腹を満たしてくれるスナックのママや屋台の主人、憧れの山笠の重鎮・カエル、兄のような存在の平治。
  • 中洲育ちの少女緋真と出会い、蓮司は中洲で成長していく。

感想

物語は福岡県の中洲が舞台。主人公の少年は戸籍がない。ホストとホステスの間に生まれ、出生届を提出されないまま、小学校にも行けずに中洲の街で暮らしている。

少年を知る人達は夜に活動する少年を「真夜中の子供」と呼ぶようになり、それが作品の題名になっている。

『戸籍がない』なんて酷い設定だと思う人もいるかも知れないけれど、日本には戸籍の無い1人が1万人いるとされている。

実際に、何年かに1度くらいは「戸籍の無くて小学校にも行けず、虐待されていた可能性がある子どもが保護された」なんてニュースがあったりする。

主人公の少年、連司は親にこそ恵まれなかったけれど、中洲の街の人の温かさに支えられて逞しく成長していく。

正直言って、出来過ぎと言うか甘過ぎる設定だとは思ったけれど「世の中の大人は子どもに対してこうあって欲しい」という作者の願望のようなものなのかな…と思ったりした。

物語の主人公は「真夜中の子供」と呼ばれる少年、蓮司なのだけど、蓮司の魅力もさることながら脇を固める大人達が魅力的で素晴らしい。

正義感と人情に溢れる警察官、中洲で客引きをするイオク、蓮司にご飯を食べさせてくれるスナックのママ、マンションを持っていのにテント暮らしをしている源太。

蓮司は大人達の中で成長していくのだけど、大人達はそれぞれ自分の出来る範囲で蓮司を導いてくれているところに好感が持てた。

そして蓮司と心を通わせる中洲育ちの少女、緋真。

彼女の立ち位置がホント切なくて良い。蓮司は緋真を特別な人間として接するようになる訳だけど、複雑な生い立ちゆえに緋真の気持ちが理解出来ない。

方、緋真は人並みの感情を持っているので、仲がよいのに片思い状態が続いていくこにとになる。2人の行く末については是非、作品を読んで確認して戴きたい。

1冊の本にたくさんのエピソードが詰め込まているのだけど、それらを上手い具合に結びつけているのが『 博多祇園山笠』の存在。

蓮司が唯一と言って良いほど執着を持ち憧れたのが「山笠」なのだけど、祭りの場面は本当に素晴らしくて「私も観てみたいな」と思ってしまった。

甘い部分も沢山あるし「ちよっと都合良過ぎる展開だな」と思った箇所もあるけれど、そんな事を上回るくらいに面白い作品だった。

いきなり映画化決定とのことだけど、蓮司を演じる子供はどんな子なんだろう? 監督は作者自身とのこと。映画の方も期待したい。

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