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さしすせその女たち 椰月美智子 角川書店

心に刺さる本だった。ただし、男性が読んだところでちっとも面白くないかも知れない。

主人公は働く主婦。夫と保育園に通う2人の子どもと暮らしている。

仕事が好きでずっと働き続けていたいと奮戦するも、なかなか思うようにはいかない。

私は出産を期に仕事を手放してしまった人間なので主人公の気持ちが100%理解出来るかと言われたらそうではない。

それでも生活描写のリアルさが上手くて「ああ…分かるよ。分かりますよ」と思う部分が多かった。

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さしすせその女たち

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39歳の多香実は、5歳の娘と4歳の息子を育てながら、デジタルマーケティング会社の室長として慌ただしい毎日を過ごしていた。

仕事と子育ての両立がこんなに大変だとは思っていなかった。ひとつ上の夫・秀介は「仕事が忙しい」と何もしてくれない。

不満と怒りが募るなか、息子が夜中に突然けいれんを起こしてしまう。そのときの秀介の言動に多香実は驚愕し、思いも寄らない考えが浮かんでいく―。

アマゾンより引用

感想

実のところ私もある時期まで「子ども預けて働こう」と思っていた。

「いつでも戻っておいで」と言われていたのもあったし、仕事が好きだった…ってのもある。娘がもう少し育てやすい子だったら、間違いなく娘を保育園に預けて働いていたと思う。

専業主婦になったことに後悔はないけれど「働きたい」と思う女性の気持ちはよく分かる。

しかし、今の日本は女性が子育てしながら働くのは難しいのが現状だ。

主人公と一緒になってイライラしてしっまった。「残業どうするの?」「家事分担は?」「子どもが病気になったら?」と問題は山積み。

「イクメン」なんて言葉も浸透してきたものの、主婦雑誌に出てくるようなキラキラした生活を送っている人なんて、ほとんどいないと思われる。

この作品の中には立場の違う女が何人か登場する。

バツイチ子持ちの女。専業主婦。妊娠中の働く週。未婚の派遣社員。それぞれに癖があって聖人でもなんでもないのだけれど、一生懸命生きているところに好感を持った。

椰月美智子は女性を描くのがホント上手い。

初めて『伶也と』を読んだ時にも思ったのだけど、ありがちなテーマを独特の物語に仕上げるのが抜群に上手いのだと思う。

スカッとするハッピーエンドではないけれど、読後感は悪くない。

「それぞれ頑張って生きていくんだろうな」と思える希望のあるラストだった。作者の次回作は是非、読みたい。しばらく意識的に追いかけていこうと思う。

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