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私の頭が正常であったなら 山白朝子 角川書店

初挑戦の作家さん…と思いきや、乙一の別名での作品だった。乙一はいくつかペンネームを持っているらしい。

図書館の新刊コーナーに並んでいて、悪趣味な題名に惹かれて手にとってみた。

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私の頭が正常であったなら

突然幽霊が見えるようになり日常を失った夫婦。首を失いながらも生き続ける奇妙な鶏。記憶を失くすことで未来予知をするカップル。書きたいものを失くしてしまった小説家。娘に対する愛情を失った母親。家族との思い出を失うことを恐れる男。元夫によって目の前で愛娘を亡くした女。そして、事故で自らの命を失ってしまった少女。わたしたちの人生は、常に何かを失い、その哀しみをかかえたまま続いていく。

アマゾンより引用

感想

一応、ジャンルとしてはホラーってところだと思うのだけど、それほど怖くはない。(もちろん怖い、怖くないの度合いは読み手による)

8つの作品が入った短編集でイヤミス(読後、嫌な気分になるミステリー)とは少し違うのだけど、読後感の微妙な作品が多め。

私の好みではないけれどハマる人はいるだろうなぁ…とは思った。

ホラーなのだけど「異形の物」とか「人間では無いものへの恐怖」はあまり感じなかった。どの作品も基本的に「幽霊? いますけど、それが何か?」くらいのアッサリした受け取り方になっている。

あまりにも幽霊とか異形の物が違和感なく世界に馴染んでいものだから「いいか。カッパは本当にいるんだぞ」と大真面目にカッパに会った体験を語ってくれた友達のおじいちゃんの事を思い出してしまった。

まぁ…そういう世界観もアリなのかな…とは思う。

登場人物達の背景は今風な感じで「流行りに乗っかってますなぁ」と言う印象。

虐待を受ける子どもが登場したり、子を愛せない親が登場したり。しっかり書き込めていれば面白かったのだろうけど、正直どれもれも薄っぺらな印象を受けた。

主人公の設定が不幸であればインパクトだけは強くなるけど、肝心のストーリーから面白味が感じられなかったのだ。

唯一、評価したいと思ったのは、先程も書いたように「幽霊? いますけど、それが何か?」ってノリは新しいかな…ってところ。

なんだろう…ここに来て昔の感覚回帰しているのだろうか? 一周回って新鮮な感じがした。

グダグダ文句ばかり書いてしまったけれど、乙一らしい作品だと思えばアリなのかも知れない。

乙一って文章とかストーリーで読ませるよりもアイデアで読ませるタイプの作家さんだと思う。

今回もそのテンプレに乗っかっただけ…と言ってしまえば納得出来る。ただ、それにしてはパンチが足りないのだなぁ。

ホラー系は結構なアイデア引っさげた若手作家さんがどんどん出てきているだけに、この程度だと少し弱い気がする。

残念ながら半年もすれば内容を忘れてしまうだろうな…と思われる1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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