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エンディングドレス 蛭田亜紗子 ポプラ社

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蛭田亜紗子は初挑戦の作家さん。図書館でジャケ借りした。

エンディングドレスとは死に装束のこと。

日本人に多い仏教徒だと経帷子が一般的だけど、最近は「終活」なんて物も流行っていて「棺桶に入る時は自分の好きな服を着たい」という人が増えているらしい。

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エンディングドレス

夫に先立たれた32歳の麻緒は、自らも死ぬ準備をするために“死に装束を縫う洋裁教室”に通い始める。あつい涙があふれる会心作。

アマゾンより引用

感想

本の表紙から察するに「エンディングドレス」と言っても「高齢者の終活がテーマ」って訳でなさそうな事はひと目見て分かる。

「自殺希望の若い女性がエンディングドレスを作ることで癒やされていく物語なんだろうな」と予想しつつ読んだのだけど、まったくもって予想通りだった。

だけど意外と良かった。映画か2時間ドラマにしたら面白いと思う。

ヒロインは夫に先立たれて自分も後を追うつもりの若い女性。ふとしたキッカケから「エンディングドレス教室」に通うことになる。

エンディングドレス教室では、いきなりエンディングドレスを作るのではなく、毎回不思議な課題が出される。

「はたちの時にいちばん気に入っていた服」とか「十五歳の時に憧れていた服」とか。エンディングドレス教室の生徒はヒロイン意外はお年寄りばかり。

ヒロインは教室の仲間や先生と関わりながら、課題に取り組んでいくうちに、いつしか立ち直っていく…って感じの物語。

この作品は大人の女性のための童話だと思う。

たぶん、男性が読んでも理解出来ないのではなかろうか。もしかしたら男性でも嶽本野ばらのように洋服フェチの人なら分かるかも知れないけれど。

女という生き物は「私、お洒落とかあんまり興味ないわ~」と公言している人でさえ、着る物への思い入れや執着みたいなものがある。

この作品は着る物に対する女心が実に生き生きと描かれていた。

エンディングドレス教室に通う「おばあさんトリオ」が個性的で読んでいて、とても楽しい。

リアリティは全くないし、あくまでも「やさしい世界」でしかないのだけれど、そこは意外と気にならなかった。「大人の童話」または「絵のない漫画」として楽しむタイプの作品だと思う。

「毎日暑いし、しんどいし、頭を使わない作品を読みたい」という時にオススメしたい。

リアリティを求めてガッツリ系が読みたい時には物足りないとは思うけれど、明るく楽しく良い作品だった。

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