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カネと共に去りぬ 久坂部羊 新潮社

名作小説のパロディ的な7つの短編からなる短編集。

収録作は「医呆人」「地下室のカルテ」「予告された安楽死の記録」「アルジャーノンにギロチンを」「吾輩はイヌである」「変心」「カネと共に去りぬ」と題名を見ただけで「ああ…あの話か…」とピンとくるように出来ている。

日本が舞台になっているけれど、それぞれ原作の登場人物に似せた感じで書かれている。

例えば表題作の「カネと共に去りぬ」ではヒロインのスカーレット・オハラは小原紅子になっている…と言う具合。

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カネと共に去りぬ

今日、患者が死んだ。初めて主治医として受け持つこととなった患者に、村荘医師がとった不条理な行動とは?

「医呆人」68歳を迎えた脳神経内科医の郷田智有。悲願である文部勲章の受章を目前にして、健康状態を記録するために日記を付け始めるのだが。「アルジャーノンにギロチンを」

研修医の寒座久礼子。ある朝、目を覚ますと、ベッドの上で自分の心が巨大な毒虫のように変わっていることに気がついた。「変心」ほか、劇薬揃いの全7篇収録。

アマゾンより引用

感想

一応医療小説の部類に入ると思うのだけどブラックパロディなのでその類が苦手な人にはオススメしない。

個人的にはそこそこ面白かったけれど、ブラックな上におふざけ的な要素が入っているので好き嫌いは別れるかと思う。

久坂部羊の作品を読むのはこれで6冊目だけど「相変わらず飛ばしてるなぁ」と言う印象。

久坂部羊の作品を読むと「病気になりたくない」「病気怖い」「年取りたくない」「年取るの怖い」とネガティブな事を思ってしまう。

しかし世の中にはそれほど病院のお世話になもらずコロッっと死んでしまう人だって多い。先の事なんて誰にも分からない。

絶対になるとは限らない病気のことをあれこれ考えたところで馬鹿げているのだけど、誰もが「私は関係ない」と言い切れないのが辛いところだ。

特にこの短編集の場合は安楽死や認知症等、高齢化社会特有の問題が取り上げられているだけに、どうしても自分自身や自分の家族と当てはめて考えてしまう。

ウンザリするほど嫌な話ばかりなのだけど、なんと言うのかな…医師(作者)の良心がチラチラと見え隠れしているので嫌悪感は無い。

むしろ「避けては通れない事だよね」と覚悟させられる感じ。

ブラックパロディとしてはアリだと思うものの、個人的にはパロディではない普通の真面目な作品の方が好きだ。

パロディにすることで本質がマイルドになるのが良いのかも知れないけれど、ガッツリ抱え込んでいる感じの作品の方が久坂部羊の持ち味が生きるように思う。

久坂部羊の作品はまだまだ読んでいないものが多いので、次は短いものではなく長編の作品を読みたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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