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ふたりぐらし 桜木紫乃 新潮社

桜木紫乃は良い。地味な女を書かせたら彼女の右に出る女性作家はいないと思う。

世の中には「ぶっ飛んだ女」を描く女性作家は沢山いるが「普通の女」や「地味な女」を上手に描ける作家は少ない気がする。

地味な女を書かせて上手い作家と言ったら、桜木紫乃の前だと宮尾登美子くらいだろうか。

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ふたりぐらし

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夫婦になること。夫婦であること。ひとりでも楽しく生きていけるのに、なぜ、ふたりで? その答えが、ここに輝く。

夢を追いつづけている元映写技師の男。母親との確執を解消できないままの看護師。

一緒にくらすと決めたあの日から、少しずつ幸せに近づいていく。そう信じながら、ふたりは夫婦になった。貧乏なんて、気にしない、と言えれば――。桜木史上〈最幸〉傑作。

アマゾンより引用

感想

今回は連作短編形式。子どものいない地味な夫婦の生活が丁寧に描かれている。

夫は映写技師。妻は看護師。夫は一応働いているものの、収入的には妻の方が安定していて「髪結いの亭主」的な感じ。

夫は稼ぎこそ少ないけれど穏やかな人で夫婦仲も睦まじい。小説に登場する夫婦って、エキセントリックだったり不仲だったりする事が多いので「仲睦まじい夫婦」って設定はそれだけで新鮮な気がした。

妻も夫も自分の親と気持ちの上で上手くいっていないところがあって、1つ1つの話の中では夫婦だけでなく「親子」についても描かれている。

セレクトショップで買ったお洒落な食器もなければ、わざ取り寄せたワインもない。普通の食器にナポリタンが盛られ、2本めのビールを開けると「今日は贅沢だな」なんて慎ましい生活。

だけど、ちっとも不幸そうではなくて、夫婦が気持ちよく暮らしている感じがとても良かった。

自分と夫の生活を重ねて読んでしまった。

私と夫は娘が生まれるまで、まさに『ふたりぐらし』のような雰囲気だったし、今でも娘が合宿等でいない時はこの作品のような空気感の中で過ごしている。

「いつまで経ってもラブラブ~」とか、そう言ったノリではないけれど、夫婦で過ごす穏やかな生活と言うものは、実に幸せなものだと思う。

この作品、上手な役者さんを起用して是非とも映像化して欲しい。2時間ドラマじゃなくて、映画で。きっと良い映画になると思うのだ。

「パスタ食べてワイン飲んでセックス!」みたいな村上春樹的な世界だけが愛ではない。

普通っぽい夫婦の普通っぽい愛を描いた作品って貴重だと思う。今年は本の当たりがイマイチだと嘆いていたけど、ここに来て納得の出来る作品に出会えたことを心から嬉しく思う。

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ふたりぐらし 桜木紫乃 新潮社

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白い木蓮の花の下で
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