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クローゼット 千早茜 新潮社

ロマンティックな表紙に惹かれて手に取った。

「ゆるふわな感じの女性向け作品なんだろうなぁ」と期待せずに読みはじめたのだけど、予想外に良かった。

脂が乗っている時の嶽本野ばらとキレッキレだった頃の小川洋子の良いところを足して2で割ったような雰囲気。

心の中に乙女の部分が残っている大人の女性に読んで戴きたい作品だ。

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クローゼット

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わたしの心の中のいちばん弱い部分――。そこは誰にも覗かれたくない場所。

秘密に束縛され、男性が苦手なまま大人になった洋服補修士の女。要領よく演技するのが得意だけど、好きな事から逃げてばかりいるフリーターの男。

洋服を愛している。それだけがふたりの共通点のはずだった――。

絶対に消えない記憶を、隠し続けるのはいけないこと? 一歩前に、もっと前に。

アマゾンより引用

感想

私の中の乙女心が疼いてしまう作品だった。

とにかく設定がイケナイ。古今東西の洋服を収集している私設博物館で働く洋服補修士の女性と、見ためはイケメンで洋服が大好きだけど、何をやってもダメダメなフリーターの男の物語。

2人の共通点は洋服。もう設定からして乙女ちっく炸裂。面白くないはずがない。

洋服補修士の女性はある事情から男性が苦手。さらに言うなら彼女ととフリーターは幼い頃に接点がある。

洋服と言う共通点を通して2人は距離を縮めていくのだけど、もどかしい感じが最高に素敵だった。

そして何より洋服の描写が良いのだ。

お姫様のドレスにうっとりした事のある人なら絶対に楽しめると思う。繊細なレース。大きく広がったスカート。コルセット。文章を読んでいるだけで「はぁ~。素敵~」と溜息が漏れ出てしまうレベル。

かつて嶽本野ばらもこんな感じだったなぁ…と懐かしく思い出してしまった。

さて。なんだかんだと大絶賛している訳だけど、実のところ「最高でした」とは言えない残念な部分もある。

洋服補修士のヒロインは同じ博物館で働く親友がいるのだけど、この親友のキャラクターがあまりにも都合が良過ぎて入り込めなかった。

心に傷を持つヒロインを心配してくれる良い人なのだけど、もはや友情の枠を越えてレズビアンの香りがするのだ。それならいっそレズビアンでも構わないのだけど、そう言った描写は一切なくて、ただひたすらに「尽くす人」でしかない。

なんと言うのかな。

ヒロインは主人公からも親友からも遮二無二愛されるハートブレイクなか弱き女性なのが、鼻についてしまった。

少女漫画やのラノベならまだ分かるけど、大人が読む小説としてはちょっとなぁ。

ただでさえロマンチック設定なのに、登場人物までありえないレベルで美化すると、リアリティが無さ過ぎて嘘臭くなってしまう。全体的な雰囲気が良かっただけに惜しくてならない。

それはそれとてして、雰囲気はとても良かったので機会があれば、作者の他の作品も読んでみたいと追う。

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白い木蓮の花の下で
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