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間取りと妄想 大竹昭子 亜紀書房

世の中には家を買う予定もないのに不動産チラシを眺めるのが好きな人って多いんじゃんいだろうか?

かく言う私もその中の1人だ。特に間取り図は見ているだけで気持ちが昂ぶる。「この家だったら、ここにベッドと本棚を置いて、冷蔵庫はここで…ああ、でもこれだと使いにくいな」なんて事を考えるのは実に楽しい。

また、立地条件を見て生活をシミュレーションするのも楽しい。「駅から徒歩17分か…これって不動産表記だから実際にはもう少し遠いよね。通勤的にはどうなんだろう? 確かに学校は近いけど…」などと考えてみたり。

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間取りと妄想

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13の間取り図から広がる、個性的な物語たち。身体の内と外が交錯する、ちょっとシュールで静謐な短編小説集。

まず家の間取を決め、次にそこで展開される物語を書いたのは大竹さんが世界初だろう、たぶん。13の間取りと13の物語。―藤森照信氏(建築家・建築史家)

家の間取りは、心身の間取りに似ている。思わぬ通路があり、隠された部屋があり、不意に視界のひらける場所がある。空間を伸縮させるのは、身近な他者と過ごした時間の積み重ねだ。その時間が、ここではむしろ流れを絶つかのように、静かに点描されている。―堀江敏幸氏(作家)

アマゾンより引用

感想

この作品はタイトルそのままの内容で、本の表紙をめくると本とは別に間取り図が挟まっている。そして間取り図ごとの短編小説が収録されている。

短編の題名をいくつかご紹介したい。

  • 仕込み部屋
  • ふたごの家
  • 浴室と柿の木
  • 家の中に町がある
  • 月を吸う

どの間取り図もまったくもって現実的ではない。

真面目に考えると「いやぁ…これは大雨の時は一発で浸水だよ」とか「ちょ…耐震構造ガン無視」とか。

しかし、そこは目を瞑って戴きたい。そこを突っ込みだすと話がはじまらないので、家がテーマの大人のファンタジーだと思って読むと良いかと思う。

イメージで言うなら小川洋子が近いかも。ファンタジーってほどではないけれど、現代日本とは少し違うパラレルワールドってところ。

大竹昭子の作品は初挑戦なので、大竹昭子がどんな作家さんのなのかは知らずに読んだのだけど「無類の間取り図好き」とのこと。

エッセイとか映画評を書いている人のようで、もしかしたら小説はあまり得意ではないのかも知れない。

アイデアは面白かったし、何より「間取り図が付いている」と言う設定が間取り図好きにはたまらのいなのだけど、作品自体は力弱いのが残念。

村上春樹の劣化版と言う印象を受けた。

変わった間取りの部屋で男と女がワイン飲みながらスパゲッティ食べても「あ…このパターンどっかで読んだな」としか思えないのだ。

もちろん全てが村上春樹調と言う訳ではなくて、他の作家さんのイメージとかぶる物もあるのだけれど、作者の個性感じられないののだ。

「間取り図小説」と言うアイデア自体は素晴らしいと思うのだけに残念に思う。

だけど私は作者とは良いお酒が飲めそうな気がする。

間取り図を見ながら、誰かと無責任にあーだこーだ喋るのって、本当に楽しい。もしかしたら小説形式ではなくて、軽めのエッセイだったら面白かったのかも知れない。

間取り図好きの方ならそれなりに楽しめるとは思うのだけど、個人的にはいまいちオススメし難い1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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