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オリンピックがやってきた 1964年北国の家族の物語 堀川アサコ KADOKAWA

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青森のある田舎町を舞台にした連作短編集。

東京オリンピックがあった時代…第2次世界大戦の影響が色濃く残りつつ、復興しつつある世界で逞しく過ごす庶民の暮らしが描かれていた。

来るべく東京オリンピックに合わせてぶつけてきた作品だと思うのだけど、オリンピック感はあんまり感じなかった。

どちらかと言うと、古き良き昭和の暮らしにピントが合っているように思う。NHKあたりでドラマ化したらピッタリだと思う。

そしてBGMは是非とも小林亜星にお願いしたい。絶対に楽しいドラマが出来ると思う。

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オリンピックがやってきた

1964──昭和39年。東京五輪開催を控え日本中が沸く頃、青森のある町にて。田舎では戦争の影がかすかに残る。でも七人家族の前田家は今日も元気。

小学生の民子の日常はきらきらしている。待望のカラーテレビに興奮し、学校では「ひょっこりひょうたん島」の話に夢中。

まだすべての人が豊かでなく、悲しいこともたくさんある。でも皆が東京五輪を待ち望んでいたあの日、心には希望があった。

アマゾンより引用

感想

お手伝いさんの少女と2人で暮らす西洋人の謎の老婆がいたり、嫁姑がピリピリとバトルを繰り広げる家庭があったり、お見合いマニアの娘さんや、恋に不器用な公務員。

みなそれぞれに一生懸命でホロリとさせられる話が多い。

こう言う素朴で温かい感じの短編集って、最近読んでいなかったので妙に新鮮に感じられた。

途中、差し込まれる第2次世界大戦の傷跡を感じさせられる話も良かった。東京オリンピックのあった時代って、まだまだ戦争の影響が色濃く残っていたのだなぁ。

家族を失う哀しみは決して癒やされる事はないけれど、それでも人は生きていかなければならない訳で、戦争のもたらす残酷さと人間の強さを感じた。

この作品集。かなり良いと思う。だた、ちょっと言わせてもらうと売り方が下手くそ。

作者自身がそうしたかったのかも知れないけれど、オリンピックを前に出してくる意義が全く分からない。

「古き良き昭和」「平成の人達が忘れてしまった昭和の世界」で良かったのではなかろうか? 作品の中にはオリンピックの話も一応出てはくるけれど、取ってつけた感が半端ないし、オリンピックのワクワク感が全く伝わってこなかった。

1つ1つのお話はそんなに長くないので、ガッツリ何かを読みたい時に読むよりも、病院か何かの待ち時間の時に読むのに良いと思う。

温かい感じの話を読みたい人にオススメたい。

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