2023年も残すところあと僅か。毎年の恒例行事と言うことで今年1年間を振り返ってみて、読書総括など。
今年は現在までに感想を書いた本は63冊。昨年は73冊感想をアップしているので読書量は微減。だけど実際は微減に留まっていることが奇跡とも言える。AmazonAudibleを利用しているので「家事をしながら」とか「入浴しながら」本を聞いていなければ、もっと読めていないはず。
加齢と共に本を読むペースも感想を書くペースも落ちてきているのを感じるので、来年はもっと少なくなる気がする。本の感想を書くのは仕事ではないので究極的なことを言うと、辞めたとしても問題ないのだ。「ものすごく気に入った本」もしくは「ものすごくムカついた本」の感想だけ残していくのもアリかも知れない。
2023年度に読んだ本
ザリガニの鳴くところ | ディーリア・オーエンズ |
流 | 東山彰良 |
すぐ死ぬんだから | 内館牧子 |
羊と鋼の森 | 宮下奈都 |
陸王 | 池井戸潤 |
パッとしない子 | 辻村深月 |
人はどう死ぬのか | 久坂部羊 |
JK、インドで常識ぶっ壊される | 熊谷はるか |
彼女の家計簿 | 原田ひ香 |
蟹工船 | 小林多喜二 |
正欲 | 朝井リョウ |
夏の花 | 原民喜 |
正体 | 染井為人 |
変な絵 | 雨穴 |
終わった人 | 内館牧子 |
ペンギンと暮らす | 小川糸 |
ある男 | 平野啓一郎 |
神の子ども達はみな踊る | 村上春樹 |
ぼくは勉強ができない | 山田詠美 |
禁断の雑学 誰もが口を閉ざす衝撃の雑学250 |
黒い雑学研究会 |
そして、バトンは渡された | 瀬尾まいこ |
路 | 吉田修一 |
寿命が尽きる2年前 | 久坂部羊 |
汝、星のごとく | 凪良ゆう |
猫と庄造と二人のをんな | 谷崎潤一郎 |
なぜ理系に女性が少ないのか | 横田広美 |
タクジョ! | 小野寺 史宜 |
タクジョ!みんなの道 | 小野寺 史宜 |
おんなのこ | くどうなおこ×佐野洋子×広瀬弦 |
嫉妬/事件 | アニー・エルノー |
バッタを倒しにアフリカへ | 前野ウルド浩太郎 |
香君(上・下) | 上橋菜穂子 |
窓際のトットちゃん | 黒柳徹子 |
すべて真夜中の恋人たち | 川上未映子 |
こう見えて元タカラジェンヌです | 天真みちる |
この世の喜びよ | 井戸川射子 |
きみ去りしのち | 重松清 |
百年の子 | 古内 一絵 |
そして誰もゆとらなくなった | 朝井リョウ |
ハンチバック | 市川沙央 |
線は、僕を描く | 砥上裕將 |
カラスの親指 | 道尾秀介 |
光のとこにいてね | 一穂ミチ |
母よ嘆くなかれ 新訳版 | パール・バック |
102歳、一人暮らし。 哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方 |
石井 哲代, 中国新聞社 |
海賊とよばれた男 | 百田尚樹 |
悼む人 | 天童荒太 |
いのちの初夜 | 北条民雄 |
瓢箪から人生 | 夏井いつき |
やさしい訴え | 小川洋子 |
地球にちりばめられて | 多和田葉子 |
知的障害の娘の母:パール・バック ノーベル文学賞を越えて |
松坂清俊 |
ロスト・ケア | 葉真中顕 |
月の立つ林で | 青山美智子 |
赤と青とエスキース | 青山美智子 |
稲荷山誠造 明日は晴れか | 香住泰 |
噓つきジェンガ | 辻村深月 |
パン屋再襲撃 | 村上春樹 |
教場 | 長岡弘樹 |
さよなら、愛しい人 | レイモンド・チャンドラー |
怒り | 吉田修一 |
ウルトラマン創世記 | 桜井浩子 |
風の向こうへ駆け抜けろ | 古内一絵 |
パール・バック再燃
昨年に引続き、今年も仕事に関連する本をいんつか読んだ。
その中で印象的だったのがパール・バック関連のノンフィクション本。パール・バックは『大地』で知られたノーベル賞作家だけど、知的障害者の娘を持つ母であり、福祉活動を実践した人だった。
パール・バックが生きた時代と現代では状況がまったく違っているけれど『母よ嘆くなかれ 〈新訳版〉』や『知的障害の娘の母:パール・バック ノーベル文学賞を越えて』を読むことで障害者福祉の歴史の一旦を知ることができたし、「障害児を育てる困難さは今も昔も変わらないのだな」と感心したりした。
パール・バックは『大地』の中に「白痴の娘」を登場させているけれど、あれは自分の娘を育てた経験があったからこそだったんだなぁ…とか、パール・バックの背景を知ることで『大地』を読んでいて感じた疑問などが明らかになり、作家が生きてきた背景を知ることで、作品をより深く読むことができる…ってことを改めて感じた。
はじめましての作家さん達
2023年は意識して未知の作家さんの作品を読むよう心掛けていた。
はじめましての作家さんの作品だと芥川賞を受賞した市川沙央の『ハッチバック』が圧倒的に良かった。芥川賞は「重度障害者が書いた小説」というところばかりが注目されていたけれど、それを抜きにしても力のある作家さんだと思うので、早く新作を書いて戴きたい。
若い人達の間で話題になっていた雨穴の『変な絵』も印象的だった。小説として面白かった…というと、ちょっと違う気がするけれど「こんな形での謎解き小説もアリなんだ!」という驚きがあった。
圧倒的ナンバーワン
2023年に読んだ本の中で圧倒的に特に良かったのは北條民雄『いのちの初夜』だった。2私にとって2023年度に読んだ本の中でベスト1に輝く作品だ。
北條民雄は若くしてハンセン病を患って療養施設で亡くなっている。隔離施設の中で小説を書き、川端康成に師事。川端康成は北條民雄の作品を高く評価し、彼の作品が夜に出るように尽力している。
死病だの業病だのと言われる病にある人達がテーマの作品なので、お涙頂戴的な物語かと思っていたら、まったく違っていた。
病を得たことによる苦悩だけでなく、困難な状況にあっても人生を楽しんで図太く生きる人々の姿が鮮やかに描写されていて人間の力強さのようなものを感じた。
ハンセン病を扱った文学作品は多数あるけれど、ナンバーワンは『いのちの初夜』だと思うし、もっとメジャーな場所で扱われても良い作品だと思う。
来年以降の読書
今年も昨年に引き続きアマゾンオーディブルのおかげで沢山の本にふれることが出来たけれど、紙の本については年々読むのが厳しくなっている。老眼のためメガネをかけても読むのが辛くて以前ほどスムーズに読むことができない。
『ハッチバック』の作者である市川沙央は『ハッチバック』を紙媒体より先にオーディブルで発表している。重度障害者である市川沙央は「紙の本しか認めないという考えは傲慢である」というような事を話しているの。私自身「読む」ことが難しくなってきたこともあって市川沙央の意見は自分の事として身に迫る。本が好きだけど本を読むのがシンドイだけに耳から聞ける本がもっと増えてくれると嬉しい。
本を選ぶ基準は今までネットの評判がベースになっていたけれど、最近は高校生になった娘のオススメを読むことが増えてきた。おかげで若い作家さんと出会う機会が増えたし、来年以降もできるだけ新規開拓をしていきたいと思っている。
来年も良い読書が出来るといいな…ってことで、今年の読書総括を締めさせて戴く。
新しい本の話
人気のある本の話