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カラスの親指 道尾秀介 講談社文庫

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『カラスの親指』は第140回直木賞候補作&第62回日本推理作家協会賞の受賞作でもある。作者の道尾秀介は私にとって初挑戦の作家さん。今までなんとなく読まずにいた。

そもそもミステリ小説は得意じゃないのだけれど、ふと「読んでみてもいいかな」と思う瞬間があって今回もその流れ。『カラスの親指』はミステリ小説…と言うよりもドタバタ感が強いので、ミステリとか謎解きに興味がない人でも楽しめると思う。

ちなみに。ミステリが苦手な私にも楽しむことが出来た。

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カラスの親指

ザックリとこんな内容
  • タケこと武沢竹夫はベテランの詐欺師。かつてはサラリーマンだったが、肝臓を悪くした妻が病死し、闇金での借金が原因で職を失う。
  • タケは借金を返せない状況の中1人娘を守りたい一心で闇金組織の借金取りにさせるのだが、良心の呵責から経理資料を警察に持ち込み組織から追われる。
  • そんなとき、タケはテツと出会いコンビを組んで仕事をする事になる。
  • ある日。上野での仕事のあと、二人はスリに失敗した少女(まひろ)を見かけて逃がしてやった事がキッカケで、タケ・テツ・まひるの3人で生活することになるのだが…

感想

『カラスの親指』は仕掛け重視の物語なのでネタバレせずに感想を書こうとすると、アレもコレも伏せなきゃいけなくなってしまうので感想が書き難いのだけどザックリ説明するとコンゲーム(詐欺師などが策略によって騙し騙され、ゲームのように二転三転するミステリ)だった。

コンゲームと言ってもドタバタコメディ要素が強いので気楽に楽しむことができる。家族のように1つ屋根の下で暮らす他人同士が一致団結して「あること」に立ち向かっていく物語。群像劇的な要素もあって「コレって映像化に向いてるよね」と思いながら読んでいたけれど、すでに阿部寛主演で映画化されている。

私はミステリ要素抜きでドタバタコメディを楽しませてもらったけれど、正直ミステリと言う意味では「そこまで良いかな?」とは思う。最後まで読むと辻褄は合っているし伏線もちゃんと張ってあるものの、後半のちゃぶ台がえしターンがあまりにも駆け足と言うか雑な作りなのが気になった。

人情味のある物語で「イイハナシダナー」ではあったけれど、なんかこぅ…靴の上から足を掻くような歯がゆさと言うか物足りなさを感じてしまった。ザックリ言うと「やり過ぎ」なのだと思う。「トンカツとカレーとハンバーグを1度に食べちゃっても美味しくないよね?」って感じ。

『カラスの親指』は楽しく読ませてもらったけれど「最高に良かった」とまでは思えなかったのが少し残念だったけれど、文章のテンポとか作中に流れる空気感は好みだったので道尾秀介の作品は他にも読んでみたいと思った。

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