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風の向こうへ駆け抜けろ 古内一絵 小学館文庫

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『風の向こうへ駆け抜けろ』は地方競馬を舞台に女性騎手と彼女を囲む人達の物語。

私は一時期『ウマ娘』にハマっていていて、それ以降競馬に興味を持つようになった。「興味がある」と言っても競馬場のに行ったことがないし、テレビでレースを観る程度。そのため『風の向こうへ駆け抜けろ』が競馬の世界をどれくらい忠実に描いているかは分からないけれど、お仕事小説として興味深いものがあったし、成長小説としても素直に楽しむことが出来る作品だった。

2023年の最後の感想を書く本が素晴らしい作品なのは嬉しい限りだ。

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風の向こうへ駆け抜けろ

ザックリとこんな内容
  • 主人公の芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。
  • 瑞穂がハイざくされたのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎だった。
  • そこにいる調教師、厩務員たちは虐待、裏切り、老いと言った心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった
  • そんな厩舎に中央から良血馬がやってくる。その馬は虐待を受けたことから人間に対する不信感に満たされていたのだが……

感想

夢中になってイッキ読みしてしまうくらいに面白かった!

成長小説、お仕事小説としても良かったし、競馬の世界を知る「競馬副読本」としても良かったと思う。

主人公の瑞穂と瑞穂を囲む仲間達のキャラクターがとても良い。瑞穂は素直に応援したくなるようなヒロインだけど、厩舎のスタッフ達とはなかなか打ち解けることができない。競馬に限ったことではないと思うのだけど、異性ばかりの職場に飛び込んでいくのは大変なことだと思う。ましてや有象無象の男性の中に若い女性が1人で入り込む…となると、なおのこと。

定番中の定番…って感じの流れではあるけれど、瑞穂が少しずつ周囲と打ち解けていく過程は読んでいて気持ちが良かった。

その一方で「競馬の世界ってこんなに厳しいの?」と驚かされるところが多くて、厳しい世界で頑張る瑞穂を応援せずにはいられなかった。例えば…だけど、馬主からセクハラされそうになったり、レース中に先輩騎手から罵声を浴びせられたり。夫に「レース中に罵声が飛んでくるって本当にあるの?」と聞いてみたところ「あるみたいだよ」との答えが返ってきた。どうやら騎手になるには鋼のメンタルが必要だ…ってことが分かった。

瑞穂の所属する厩舎は地方から中央のレースを目指すことになるのだけれど、そのあたりの詳しい流れはネタバレになってしまうので伏せることにする。たぶん『ブロシェットX』とか『プロフェッショナル仕事の流儀』が好きな人は好きな展開だと思う。

私はテレビで観る競馬の世界しか知らないけれど『風の向こうへ駆け抜けろ』を読む中でテレビに映る馬の後ろには沢山の人間と多くの馬がいるんだ…ってことを知って、もっと競馬のことを知りたいと思った。突き詰めて言えば競馬は賭博なので明るい部分だけのものではない訳で、その辺もひっくるめて知りたいし、自分なりに考えていきたい。

『風の向こうへ駆け抜けろ』は続編が出ているそうなので、そちらも是非読んでみたい。

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