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光のとこにいてね 一穂ミチ 文藝春秋

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一穂ミチの作品を読むのはこれで2冊目。『光のとこにいてね』はに第168回直木賞&第20回本屋大賞第3位…と言うなかなかの話題作。

前回『スモールワールズ』を読んで「大人向けの長編を読んでみたい」と感想を書いているけれど、『光のとこにいてね』はまさしく「大人向けの長編」だった。

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光のとこにいてね

ザックリとこんな内容
  • ガールズミーツガール。古びた団地の片隅で2人の少女結珠(ゆず)と果遠(かのん)は出会う。着るものも食べるものも住む世界も違う2人だったが何故か気があって楽しい時間を過ごした。
  • 離れ離れになってしまった2人だったが紆余曲折経て、結珠の通う私立の女子校に果遠が特待生として入学してくる。2人は再び同じ時間を過ごすことになったのだが、またしても自分達の意思とは関係なく別れを余儀なくされてしまう。

感想

推し、燃ゆ』以降、毒親が前に出てくる作品がワンサカ出てきたけれど『光のとこにいてね』のヒロイン達の親もテンプレ的な毒親だった。姫野カオルコの描いた昭和の毒親とはまた違ったタイプの毒親だけど、毒親の描き方がリアルな感じでとても良かった。

私自身、子どもを育てる「親」なので『光のとこにいてね』の母達の所業は心底ムカつくのだけど「まぁ…こんな親、いるよね」と思わせてくれるくらいにはリアルだった。実際、あのレベルの毒親はそこらへんに普通にいる。

生まれ育ちの違う2人が友情を育てる物語…と言うとマーク・トウェインの『王子と乞食』の王子と乞食とか『トム・ソーヤーの冒険』のトムとハックとかが有名。『赤毛のアン』のアンとダイアナもそうだ。自分に無いものを持っている人に惹かれてしまう…ってよくある現象だと思う。そして私は「何もかも違う2人の友情物」が大好きなので夢中になって読んでしまった。

展開が早くて次から次へと不幸が襲ってくるのも良かった。読者を飽きない展開の速さとお話作りの上手さは好印象。

…と褒めまくっているけれど「じゃあ良かったんですね?」と聞かれたら「ん~。実は好みじゃない」としか言えない。

一穂ミチはボーイズラブ小説出身とのことだけど『光のとこにいてね』はガールズラブ小説(百合小説)って感じだった。中山可穂や松浦理英子が描く女性の恋愛とは方向性が少し違感じ。一番近いな…と感じたのは柚木麻子の『らんたん』。最近はシスターフッドとか言うらしいのだけど、個人的には微妙にコレジャナイロボが出動してしまう感じだった。

特に私が気に食わなかったポイントは「女性同士の関係を成立させるために、女性にとってものすごく都合の良い男性を登場させている」ってところ。ひと言で言うと男性を馬鹿にしている。これは柚木麻子の『らんたん』を読んだ時も似たような感想を持っている。

そして毒親に苦しめられて成長した女性が、自分も母と同じように身勝手に子どもを捨てるのも気に食わなかった。「おいおい。今までの前フリは何だったのよ?」

作品の後半部突入までは楽しく読んでいたのだけれど、最後まで読んで「無いわぁ~。私には無理だわぁ~」みたいな気持ちになってしまった。

本屋大賞3位。感涙必至…みたいな評判の作品なんだけど、感涙した人達はあのラストで納得したんだろうか? それとも私の感覚が妙ちきりんなんだろうか?

何にせよ途中まで楽しく読ませて戴いたものの、私にはまったく共感も納得も出来ない1冊だった。

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