読んだ本の『50音別作家一覧』はこちらから>>

JK、インドで常識ぶっ壊される 熊谷はるか 河出書房新社

記事内に広告が含まれています。

先日読んだ『すぐ死ぬんだから』に続いて内館牧子の老人をテーマにした作品を読んでみることにした。出版年度的には『終わった人』の方が『すぐ死ぬんだから』よりも先にヒットしたみたい。

すぐ死ぬんだから』の主人公が女性だったのに対して『終わった人』の主人公は男性だった。

主人公の性別が違うから…ってこともあるだろうけど、私は断然『すぐ死ぬんだから』の方が面白かったけれど、一般的な評価としては『終わった人』の方が人気っぽい。

今回も軽くネタバレがある感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

スポンサーリンク

JK、インドで常識ぶっ壊される

ザックリとこんな内容
  • 第16回出版甲子園、グランプリ受賞作。
  • 中高一貫校に通い、キラキラしたJKライフを送るはずだった作者は中3の終わり、父親の転勤でインドで暮らす事になる。
  • 女子高生の視点で見たインドの生活を描いたエッセイ本。

感想

軽いタイトルなので「チャラチャラした内容なんじゃないの?」と先入観を持ってしまいそうだけど、トンデモナイ。なかなかに濃い内容の読み応えのあるエッセイ本だった。

『JK、インドで常識ぶっ壊される』は『出版甲子園』と言う企画ででグランプリを受賞している。

「甲子園」と名前が付いていても応募資格は「学生であること」なので大学生、大学院生の応募も多く、高校生がグランプリを受賞するのは大会史上初とのこと。確かに大学生や大学院生の書いた作品と戦って勝ち残ってくるだけの力はあると思う。

  • インド人はカレーばっかり食べている
  • インド人は頭にターバン巻いてる
  • インドは治安が悪い

……こんなイメージしかない状態でインドに行った作者だったが、それでも女子高生らしい視点でもってインドを観察し、インドでの暮らしに溶け込んでいく。

文化の違いや考え方の違いに驚き、インドでしか味わえない美味しい食べ物を食べる。

……と。ここまでならよくあるインド体験記って感じなのだけど、作者は高校のボランティア部でスラム街で暮らす子ども達との交流の中で様々な事を考える。軽めの話題からの意識高い系展開!

だけど『JK、インドで常識ぶっ壊される』は意識高い系に走らず「自分のできる範囲のことを」程度に収まっていたのが良かった。あまり唐突にブッ千切られると辟易するけど「ああ…分かる。でも、そうだよね」くらいのところで終わっていて好感が持てた。

私は『JK、インドで常識ぶっ壊される』を中3の娘にも「面白いから読んでみて」と勧めてみたのだけれど、娘も「この本、面白かった!」と気に入ったみたい。

だけど、最後にほんの少しだけ大人視点の意地の悪い感想も少しだけ付け加えておく。

作者が体験し見聞きした事は尊いと思うし、若い感性でインドを見聞した記録は貴重だと思うものの「でも作者は日本でも富裕層にカテゴライズされる人なんですよね」ってところが皮肉だなぁ…とも思った。

東京で中学受験を経験して、中高一貫校に通って父の転勤に従ってインドに赴任するJK。格差社会がエスカレートする日本の勝ち組層がカースト制度が支配するインドの情勢を体験するのは面白いな…と思った。日本で暮らす底辺JKはインドどころではないよね…って話。

それはそれとして『JK、インドで常識ぶっ壊される』は若い世代の人に読んでもらたいたい良書だと思う。

谷崎潤一郎の他の作品の感想も読んでみる

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました