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地球にちりばめられて 多和田葉子 講談社文庫

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多和田葉子作品を読むのはこれで3冊目。前に読んだ2冊はそこそこ印象が良くて「続けて読んでみたい」と書いているのに、特に理由もなく3冊目を手に取らないまま今日まできてしまった。

…なんてことだ。もっと早くに読んでおくべきだった。

前に読んだ2冊も面白かったけれど、私の理解度が足りなくてモヤモヤするものが残ってしまっていたけれど、今回は理解度が足りないながらも心に刺さるものがあった。

多和田葉子…村上春樹以上にノーベル文学賞に近い人だと思う。

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地球にちりばめられて

ザックリとこんな内容
  • 「国」や「言語」の境界が危うくなった現代が曖昧になっている近未来設定の物語。
  • 留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoはヨーロッパ大陸で暮らしていく中で独自の言語(パンスカ)を作り出した。
  • Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで言語学を研究する青年クヌートと出会う。
  • Hirukoはクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜すことになり……

感想

なんかこぅ…頭をカチ割られたような衝撃的な作品だった。物の考え方がいちいち新しくて驚くばかり。

多和田葉子は「言語」に関するテーマの作品を発表し続けている作家さんだけど『地球にちりばめられて』では言語だけではなく人間のアイデンティティとか「国」と言うところがテーマになっている。そしてその中にはセクシャリティも含まれるのかも。

恥ずかしながら私の頭では全て理解することは難しかった。

物語の設定は近未来。日本は消滅していて日本語を使う人もいなくなっている。自然環境への考え方とかセクシャリティの概念も現代とは大違い。ある意味SF小説と言っても良いと思う。

『地球にちりばめられて』は誰が主人公なのかを定義することは難しい作品なのだけど、メインの登場人物となるHirukoは日本人設定。だけど日本は消滅していてHirukoは自分で作った言語(パンスカ)を使って生活している。

Hirukoを中心に様々な人種、性別の人間が集まってHirukoの母語を話す人間を探すのだけど、登場人物が揃いも揃って癖が強い。ある意味面倒くさい人間の集団とも言えるのだけど、束になってかかってくるところがとても良い。

多和田葉子の思想を全面的に賛同することは出来ないけれど「こんな作品を書く作家は他にいないよね!」と興奮するし何よりいちいち面白い。

…と。かなり興奮気味に読み進めたのだけど『地球にちりばめられて』は尻切れトンボ的なラストになっている。「えっ? ここで終わりとかどういう事?」と困惑すること請け合いだ。

なお。『地球にちりばめられて』は三部作形式になっていて続編に『星に仄めかされて』と『太陽諸島』があるとのこと。続編も追々と読んでみたい。

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