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代理母、はじめました 垣谷美雨 中央公論新社

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垣谷美雨は最近、1番勢いのある女性作家と言っても良いと思う。『老後の資金がありません』は天海祐希主演で映画化が決定しているし、すでに映像化されている作品もいくつかある。

「いま」を生きる女性をテーマにした作品が多く、今回のテーマは代理母。

「あの垣谷美雨が代理母を書いたらどんな感じになるんだろう?」とワクワクして読んだのだけど、今回は駄目過ぎるくらい駄目だった。前回読んだ『うちの父が運転をやめません』もイマイチだと思ったけれど、それ以上のイマイチっぷり。

今回は全力でdisっていく感想なので垣谷美雨が大好きな方は、ここから先を読むのは遠慮して戴いた方が良いかも知れない。

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代理母、はじめました

ザックリとこんな内容
  • 主人公は義父の策略で、違法な代理母出産をさせられた17才のユキ。
  • 未婚のまま命がけで出産したにもかかわらず、代理母の報酬はすべて義父の手に。渡ってしまった。それどころか、義父は再びユキを代理母にしようと考えていた。
  • ユキは義父の元から逃げ出して自らの経験を逆手に取り、自分のような貧しい女性を救う大胆な〈代理母ビジネス〉を思いつく。
  • ユキを支えるのは医師の静子と芽衣子。そしてゲイのミチオと一路。
  • さまざまな事情を抱えた「子どもを持ちたい」人々が、最後の砦としてユキたちを頼ってやってきて……。

感想

少子高齢化が加速している日本で「代理母」と言うテーマを持ってくるのは良かったと思う。だけど、この作品は駄目だ。大事な背骨が通っていない。大量に流行りのキーワードを突っ込めば良い作品が出来る…って訳じゃないのだ。

「代理母」と言うらかには、代理母の云々だけを書けば良かったのだろうけれど、昨今流行りのキーワードを全部盛りにしているのが駄目過ぎた。

  • 代理母
  • 不妊治療
  • 人種差別
  • ジェンダー論
  • 女性蔑視

……いくらなんでもツッコミ過ぎ。「ところで、どこがメインなんですか?」って話になる訳だけど、どれもこれも中途半端な描写に留まっている。

だけど憎らしいのは垣谷美雨の筆力。背骨の通っていないめちゃくちゃな話なのに、読みやすい文集なので最後まで読めなくもない。下手くそな文章なら読んでいられなかったと思う。一応、最後まで読めるクオリティは保っていたものの小説の質はよろしくない。

……仕事が雑過ぎる。

垣谷美雨は初期の頃から社会の理不尽…特に女性が感じている理不尽を描きたい人なんだろうな…とは思っていたけど、あれもこれもと全部盛りにしたことで作品が破綻してしまっている。

垣谷美雨…こんな雑な仕事をするなら、もう読まなくてもいいかな…って思ってしまった。一時期、全力で推していた作家さんなだけに残念でならない。

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