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姑の遺品整理は、迷惑です 垣谷美雨 双葉社

前回読んだ『四十歳、未婚出産』が全く好きになれなかったので「垣谷美雨を追いかけるのも潮時かな…」なんて事を思っていたのだけれど『姑の遺品整理は、迷惑です』は一気読みするレベルで面白かった。

私は猛烈に面白いと思ったのだけど、もしかしたら男性には分からない面白さなのかも知れない。日本中の全ての中年女性に読んで欲しいと思ってしまった。(そこそこ家の片付けが好きな人に限定で)

今回の感想はどうしてもネタバレ要素が入るので「ネタバレされたら読む気にならない派」の方はご遠慮ください。

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『姑の遺品整理は、迷惑です』垣谷美雨

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ザックリとこんな作品
  • 独り暮らしの姑が亡くなり、姑の住んでいたマンションを処分することになった。
  • 嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとする。
  • 大量の遺品に立ち向かう嫁の物語。

題名だけ読むと「日本の全姑に喧嘩売ってるの?」としか思えないのだけど、落ち着いて欲しい。この作品。題名は飛ばしているけれど、姑ディスり小説ではない。

感想

題名から察していただけると思うのだけど、嫁が亡くなった姑の遺品整理をする話だ。

  • 遺品整理をする対象は3DKの団地
  • 嫁は1人で遺品整理をしなければならない
  • 遺品整理の業者を依頼するお金は出せない

……この設定。過酷だと思う。

私はかつて夫の実家で「夫が使っていた私室を空っぽにする」と言う作業をした事があるけれど、たった一部屋だけだったのに、夫婦2人がかりで作業しても大変だった。

しかも私達の姑世代はもれなく「物が捨てられない」「モッタイナイ」をベースに生きているので物の多さは充分察する事が出来る。

実際、夫の実家はどこもかしこも物がギッシリ詰まっていて、義母が亡くなった時はどうなることかと今から頭が痛くなるレベル。

……と私のことはさておき。

主人公は果敢にも1人で遺品整理に取り組んでいく。途中、夫が手伝いに入ってくるのだけれど、夫は役に立たないどころか、むしろ邪魔。主人公の夫の駄目っぷりについては実際に読んで確かめて戴きたい。

主人公は少し前に実母を亡くしているのだけれど、主人公の実母は姑と正反対の人で、自分の身の回りの物をキッチリ処分して、子ども達に出来るだけ迷惑をかけないように亡くなっている。主人公は事あるごとに、自分の母と姑を比べて発狂。

主人公は大量の遺品を前に姑に対する呪いの言葉を口にする。

  • お義母さん、一人暮らしなのに、どうしてこんなに傘がたくさんあるんです?
  • お義母さん、何なんですか、これは。いったい何人家族なんですか?
  • お義母さん、いい加減にしてくださいね。
  • お義母さん、さすがに我慢強いだけが取り柄の私でも、もう既に嫌になっちゃいましたよ。

大量の遺品を前に発狂する主人公を見て最初は「なんて可愛そうなんだ。1人で遺品整理だなんて…」としか思わなかったのだけど、実はこの問いかけは後々になって大きな伏線となっていく。

嫁視点から見ると、何やら自分勝手で迷惑な姑のように思えるのだけど、実はこの姑。意外と良い人だったらしく「生前、お世話になったから…」と、たくさんの人が主人公に手を貸してくれるようになる。

遺品整理をしていく中で、主人公はふと気がつくのだ。

自分の母親はどんな人生を送っていたのか? 姑のことなら生前から知っていただけでなく、遺品整理をする中で死後も色々な事が分かってきたのに、自分は実母の事を何も知らない…と。

主人公が亡き母を思ってさめざめと泣く場面は実に切ない。

主人公の実母のエピソードについては、ちゃんと解決していくし、姑の遺品整理や姑の生き様についても物語が進んでいくにつれ明らかになっていく。

この作品は「死ぬ時は綺麗に整理整頓して残された人に迷惑をかけないようにしましょう」なんて断捨離の教科書的なことは一切書いていない。

もっと泥臭くて人間らしいところに主題を持ってきたところが素晴らしい。

思うに…垣谷美雨は中高年女性を描く方が上手なのだと思う。

前回読んだ『四十歳、未婚出産』の主人公も40歳なので中年と言えなくもないのだけれど、キラキラ系を意識したのか嘘っぽさが目立っていた気がする。

文句無しに面白い作品だった。次の作品も期待したい。

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