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女たちの避難所 垣谷美雨 新潮社

老後の資金がありません』があまりにも面白かったので、評判の良さそうな作品を続けて読んでみた。

私の中で垣谷美雨祭りが開催されるほどに面白かった。

東北大地震をテーマにした震災文学。今年は震災文学を読む機会が多くて、まだ感想を書いていない物を含めると4冊目か5冊目の震災文学なのだけど、それはもうダントツの面白さだった。

女たちの避難所

ザックリとこんな話
  • 東日本大震災を描いた震災小説。
  • 文庫化する際に『避難所』から改題。
  • 複数主人公体制。
  • それぞれに事情を抱えた女達が避難所で暮らすことになる。
  • 避難所は、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせないような酷い場所で、女達は男尊女卑に苦しめられることになる。

感想

垣谷美雨と言う人は「女」を描くのが上手い。

桐野夏生村田喜代子も女を書かせたら天下一品だと思うけれど、この2人は視点が少し違っているので「似ている」と言う印象は全く感じられない。

桐野夏生は女の悪意や汚い部分、村田喜代子は女が内に秘める情熱を描くのが上手いのに対して、垣谷美雨は「何の取り柄もない善良な女」に焦点を当てているところが特徴だ。

小説を描くにあたって主人公が「普通の人」ってのは、なかなか話が転がりにくい。

桐野夏生にしても、村田喜代子にしても主人公は個性の強い女が多いのだけど、垣谷美雨の主人公は見事なまでに普通の女だ。

この作品は震災の時の避難所で暮らす女達が主人公。

メインとなる主人公は1人だけど、複数主人公体制。子どもが独立して夫と暮らす女、シングルマザーで小学生を育てている女、震災で夫を亡くし、乳飲み子を抱えている女が登場する。

それぞれ違った人生があり、どの女も懸命に生きる普通の女だ。

震災文学って「震災あったけど頑張ろう系」とか「震災で人生観変わっちゃった系」とか「震災テーマだけど俺の言いたい事はそうじゃないんだぜ。もっと社会や人間の根本を突っ込んじゃう系」等があるけれど、この作品は最初に書いた「震災あったけど頑張ろう系」に分類される。

しかし「震災あったけど頑張ろう」と言うよりも、実のところ男と女の価値観の違いや、田舎の男尊女卑的な事、世代間のギャップなどが本当のテーマだと思う。

私は面白く読んだのだけど、男性にはオススメしたくない。

……と言うのも、この作品に登場する男性は胸くその悪くなるような酷い男ばかりが登場する。

流石に世の中の男性があんな人ばかりだとは思わないけれど、実際「ああ…いるよね。そんなタイプって」と思ってしまった事も事実だ。

女性視点で読むと「よくぞ言ってくれました!」と喝采を贈りたいような場面があったりして気持ちが良い。

ラストはご都合主義と言うか「それは夢物語過ぎでしょ?」と言うような形で締められているけれど、この作品のオチとしてはアリかな…と思った。

『女たちの避難所』はリアルを追求し過ぎると不幸なオチしか想像出来ない設定なのだ。

主人公達のような設定の女性達は日本に沢山いるだろうし、想像もつかないような苦労をされている事と思う。

だからこそ「小説の中でくらい夢見たっていいじゃない」と言う気持ちになってしまった。

垣谷美雨の作品は続けて色々と読んでみたいと思う。

2冊続けて一気読み出来る面白さだなんて感激だ。新たなるマイブームの到来。気持ちが落ち着くまで、とりあえず垣谷美雨を追いかけてみようと思う。

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