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映画『ホテル・ムンバイ』感想。

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『ホテル・ムンバイ』は2019年に公開されたオーストラリア、アメリカ、インドの合作映画。

2008年に起きたムンバイ同時多発テロの時にタージマハル・ホテルに閉じ込められた人達にスポットを当てた作品。恥ずかしながら私は2008年の同時多発テロのことを全く覚えていない(切迫流産中でそれどころではなかった)けれど、かなりの規模のテロだったとのこと。

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エクストリーム・ジョブ

ホテル・ムンバイ
Hotel Mumbai
監督 アンソニー・マラス
脚本 ジョン・コリー
アンソニー・マラス
製作 ベイジル・イヴァニク
ゲイリー・ハミルトン
マイク・ガブラウィ
ジュリー・ライアン
製作総指揮 ケント・クベナ
ジョナサン・ファーマン
ライアン・ハミルトン
イン・イェ
マーク・モントゴメリー
デーヴ・パテール
ジョン・コリー
ジョゼフ・N・コーエン
ゲイリー・エリス
出演者 デーヴ・パテール
アーミー・ハマー
ナザニン・ボニアディ
ティルダ・コブハム=ハーヴェイ
アヌパム・カー
ジェイソン・アイザックス
音楽 フォルカー・ベルテルマン
撮影 ニック・レミー・マシューズ
公開 オーストラリアの旗 2019年3月14日
アメリカ合衆国の旗 2019年3月22日
日本の旗 2019年9月27日

あらすじ

物語の舞台は2008年11月26日、インドのムンバイ市。大きなカバンを持った十数人のイスラム教徒の若い男たちは、携帯電話で連絡を取り合う場面からスタート。彼らは同時多発テロを起こすよう支持されていた。

主人公のアルジュン。タージマハル・ホテルのレストランで働く従業員。妻と娘を愛する普通のお父さん。ホテルではレストランの給仕をしている。

タージマハル・ホテルはインドでも有数の高級ホテルで多くのセレブが訪れる。その日はアメリカ人のデヴィッド夫妻(デヴィッド&ザーラ)とその息子(赤ん坊)、デヴィッド夫妻の赤ん坊担当の子守の女性が訪れていた。

デヴィッド夫妻はレストランで食事をし、赤ん坊は部屋で子守が世話をしていた。そんな中、テロリストがやってきて銃の乱射をはじめる。レストランにいた人達は料理長の指示の元、ホテルの中で最も安全に作られているラウンジへと移動するこにとなる。

料理長は従業員達に「自分の意思で残りたい者は残って欲しい。逃げたい者は逃げても良い」と言うのだが、多くの従業員がホテルに残り、客を守るための行動をはじめる。

一方、テロリスト達は1室ずつ客室を訪ね、客の殺害をはじめる。ラウンジに避難していたデヴィッドは妻を残して、息子の元へ向かい、どうにか息子と子守と合流する。

インド政府はニューデリーのインド軍特殊部隊を派遣するが、時間が掛かりすぎてしまうため、意を決した現地警察官数名がホテルの内部に突入し……

高潔なホテルマン達の奮闘

私の中にあるインドのイメージって、実のところあまりパッとしない。

  • ヒンズー教徒が多くてガンジス河には死体が流れている
  • インド映画ではみんな踊りまくっている
  • 女性の地位が猛烈に低くてカースト制度がある
  • 人が多くてみんなパワフルに生きてる

……みたいな感じ。それに加えて「インド人は自由に生きてる。日本人のようにキッチリした性格じゃない」みたいなイメージもある。

そんな訳なので『ホテル・ムンバイ』を観て「インド人、凄いな!」と感心してしまった。

テロリストが乱入してきたホテルの中でホテルマン達は逃げずに客を守ろうと奮戦する。自分1人なら逃げられた(実際に逃げたホテルマンもいた)のに、逃げないと言う選択をしたホテルマン達に驚かされた。

……私なら確実に自分だけ逃げる。卑怯だと言われようと生きて家族の元に帰りたい。

『ホテル・ムンバイ』は実話ベースの映画なので、映画で描かれていたすべてが本当にあったとは言わないまでも、ホテルマン達の活躍があったからこそ被害を抑えることが出来たのは事実のようだ。

テロリスト側からの描写

ホテル襲撃の様子は残酷でテロリスト達は悪魔か鬼のように思えるのだけど、テロリスト達は最初から残虐な悪魔ではなかったのだ…ってことを表現する場面がある。

テロリスト達は全員若者なのだけど、ラスト近くで怪我をしたテロリストの1人が故郷の家族に電話をする。若者は「ちゃんとお金を渡してもらったの?」と聞くのだけど「いいや、もらっていない」との答えが返ってきて、若者は絶望する。

私はテロリストを頭のオカシイ狂信者だと思っていたけど、家族を愛する普通の人間で最初から人殺しをしたかった訳じゃなかったのだ。「お金が欲しい」「家族を養いたい」と言う気持ちからテロリストとなった…って事実に切なくなってしまった。

今はアフガニスタンがタリバンに占拠されて大変なことになっているけれど「タリバンに属して活動する人間の中にも、もしかしたらお金のために働いている人もいるのかも知れないな…」なんてことを思ったりもした。

最後はその人が持っていた運!

ホテルに残って客を守ろうと奮闘したホテルマン達は凄いな…と思った訳だけど、当然ながら殺されてしまう人も多かった。

主人公のアルジュンは最後まで生き残って家族の元に帰ることが出来たのだけど、さらっと殺されてしまったホテルマンもいて「結局は運が左右するのかな…」なんてことを思ったりした。

運と言えば、デイヴィッドの妻、ザーラはテロリストに囚われて殺されそうになるのだけれど、咄嗟にコーランを唱えて難を逃れている。テロリストは「女であっても殺せ」と言われていたのだけれど、真面目で敬虔なイスラム教徒だったらしく、ザーラを殺すことが出来なかった。

あの場面でコーランを唱えることの出来たザーラの機転にも驚いたけど、テロリストがイスラム教に敬虔な若者でなければ、それでも惨殺されていたかも知れない。要するに「運が良かったよね」って話。

私は映画を観る時についつい「自分だったら…」と連想してしまうのだけど、私がタージマハル・ホテルに泊まっていたら、最初の銃の乱射であっけなく殺されている気がする。日本と言う国で暮らしているってそれだけで強運なのかも知れないなぁ…。

2021年はまだ終わっていないけれど『ホテル・ムンバイ』は今年観た映画の中で間違いなく5指に入るだろう、骨太で面白い作品だった。

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