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映画『Fukushima 50 』感想。

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コロナウィルスが流行っている中「映画を観に行くなんてどうなの?」って話だけど『Fukushima 50 』を観に行ってきた。

このご時世に閉鎖空間に突入することについては自己責任と言うことで。

ちなみに、映画館はありえないレベルで空いていて、ショッピングセンターよりも人口密度が低かったとだけ報告しておく。

「この時期に映画に行くって、どうなの?」っと話だけど、DVDなり地上波放送になった時にでも日本人の全ての大人に観て戴きたいと思う。

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Fukushima 50

Fukushima 50
(フクシマフィフティ)
監督 若松節朗
脚本 前川洋一
原作 門田隆将
『死の淵を見た男 ―吉田昌郎と福島第一原発―』
製作 椿宜和(企画プロデュース)
二宮直彦
製作総指揮 角川歴彦(製作代表)
井上伸一郎
出演者 佐藤浩市
渡辺謙
吉岡秀隆
緒形直人
火野正平
平田満
萩原聖人
吉岡里帆
斎藤工
富田靖子
佐野史郎
安田成美
音楽 岩代太郎

あらすじ

2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が発生。巨大津波が福島第一原子力発電所を襲った。

津波による浸水で全電源を喪失してステーション・ブラック・アウト(SBO)する。

冷却不能の状況に陥った原子炉は、このままではメルトダウン (炉心溶融) により想像を絶する被害がもたらされることは明らかだった。

1・2号機当直長伊崎(佐藤浩市)ら現場作業員達は原発内に残り、原子炉制御に奔走する。

一方、全体指揮を統括する吉田所長(渡辺謙)部下たちを指揮しつつ、状況を把握しきれていない本店や官邸に対し苛立ちを感じる。

事態は悪化の一途をたどり、近隣の人々は避難を余儀なくされる。

官邸が試算したこの事故による最悪のシナリオでは被害範囲は半径250km、避難対象人口は約5000万人。

現場に残された唯一の手段は「ベント」だった。ベントは作業員が放射線量の高い原子炉内に突入して行う方法で、世界でいまだかつて実行されたことはなかった…

東日本大震災の悲劇

『Fukushima 50 』は福島第一原子力発電所事故発生時に発電所に留まって対応業務に従事した約50名の作業員、通称「フクシマ50」の活躍を描いた作品で、当然ながら実話ベース。

私は原作本を読まない状態で観に行ったので、追々原作も読んでみたいと思っている。

東日本大震災が起こった時、娘はまだ小さくて子育て真っ最中だった。私は大阪に住んでいるので、被害を受けることはなかったけれど、テレビから流てくる映像に呆然とした覚えがある。

福島第一原発事故についてはテレビや新聞で知ったのだけど、実のところ詳しいことはまったく知らなかった。「あの現場で何が起こっていたのか」を知らなかっただけでなく「あの現場では多くの人が働いていた」ってことさえ、ちゃんと理解していなかった。

『Fukushima 50 』を観ての1番の感想は「原発事故現場で働いてくれたみなさん、本当にありがとうございました」に尽きる。

カツコイイ男達(中年)を愛でる

『Fukushima 50 』は渡辺謙、佐藤浩市と言うカッコイイ中年の代表格のような役者さんが出ているのだけど、2人の熱演が極まっていた。

そして注目して戴きたいのは、渡辺謙、佐藤浩市以外のキャストも凄かったってことだ。

火野正平、平田満、萩原聖人、ダンカン…登場人物が多いので全員を書き出していらキリが無いけど「男の格好良さは顔にあらず」と言う素晴らしい演技でグッときてしまった。

あのキャストは凄すぎる。全員バッチリハマっていて、カッコイイ男から憎まれ役まで役者さん達はそれぞれの役をしっかりこなしていたと思う。

命を懸けて仕事が出来るかどうか?

『Fukushima 50 』を観ていて辛かったのは「自分の命を賭ける事が出来るかどうか?」で現場の人間達が辛い選択を迫られる場面。

放射線量の高い原子炉内に突入するメンバーを募る際に、伊崎(佐藤浩市)は危険を説明した上で「それでも行ってくれると言う人は手を挙げて欲しい」と言うのだけれど、「普通に考えたら手を挙げたくないだろ?」って話だ。

登場人物の中に「比較的高齢で自分が行かなきゃって事は分かっているけれど、どうしても手を挙げられない」と言う人物がいて、物凄く卑屈な演技をするのだけれど、私は「分かるよ。そりゃそうだよ。あなたは悪くないよ」と思い入れて観てしまった。

あの場面で手を挙げる人は英雄だと思うのだけど、手を挙げられない人が悪い訳じゃない。

卑怯な考え方だとは思うのだけど、自分の家族や友人があの場にいたら「卑怯でもいいから、無事に帰ってくることだけを考えて行動してください」と思ってしまう。

福島第一原発事故の現場で働いていた人達の「その後」については、よく分かっていないのだけど、吉田所長が食道がんで亡くなっていることを思えば、原発事故が身体に及ぼす影響を想像することが出来ると思う。

政府&東電vs現場

『Fukushima 50 』の中では政府と東電が「無能の悪者」的な感じで描かれていて、観ている途中で何度もイライラさせられた。

吉田所長(渡辺謙)も何度となく怒りをあらわにしてブチ切れている。

実際、対応の遅さや、現場で働く人達のことを考えない対応等「責められて当然」と言う部分はあったと思う。

ただ、あの場面において「スピーディーに正しい判断をすることが出来るのか?」と考えると「出来る人は少ないだろうな」とも思う。決断が間違っていたら、東日本が壊滅すると分かっていて、GOを出すことは難しい。

今、世界はコロナウィルスの対策に追われている訳だけど「コロナ対策、後手後手じゃない?」と感じることが多々ある。

東京オリンピック開催にしても「さっさと決めてあげて」と言う気持ちでいっぱいだけど「延期します」「中止します」と言えないからこそ、ダラダラと引きずっている訳で。

政府と東電の対策を見てイライラした反面「もし自分がその立場だったら」と考えると、即断即決出来る自信はない。

最悪の事態をまぬがれた奇跡

福島第一原子力発電所事故が最悪の事態に至らなかったのは奇跡的だと思う。

2号機の格納容器が爆発しなかった理由はいまだに謎であるとのこと。

そして奇跡は天から降ってきたものではなく、現場にいた人達の努力あってこそ。全ての選択が正しかったか?」と言うと、そうじゃないのかも知れないけれど、それでもあの極限状態で逃げ出すことなく対応してくれただけでも凄いことだ。

あの時、最悪の事態に陥っていたら関東に住む友人知人が大きな被害を受けていたのかと思うと心底ゾッとした。

原子力発電の是非

原子力発電の恐ろしさを実感したものの、残念ながら今の日本は原子力発電に頼るしかないのも事実だ。

風力だの、太陽光だのと言ったエネルギーも注目されているものの、自然エネルギーで国内の電力を賄うのは難しい。

「日本は原発に頼っててクソ」みたいな考えの人もいるけれど、日本の原発依存率は世界的に見るとまだまだ低い方で10%を切っている。

その一方でフランスは70%以上の電力を原発に依存しているし「自然を大事にしている国」と言うイメージのあるスウェーデンやフィンランドも30%以上の電力を原発に依存している。原発に依存していない先進国は、ほぼ無い。

『Fukushima 50 』で描かれた事故は「日本で起こった不幸な事故」であると同時に「世界でも起こり得る事故」なのだ。

「原発は全て停止とする。国内移動は全て馬。灯りは菜種油とする!」くらい極端な政策を取れば、やってやれない事はないだろうけど、私達は原始時代の暮らしに戻れないのだなぁ。

『Fukushima 50 』は観た後に多くのことを考えさせられる作品だと思う。

「面白かった」と言うタイプの作品ではないし、観た後にドッと疲れてしまったけれど「観に行って良かった」と思える作品だった。

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白い木蓮の花の下で