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映画『パラサイト 半地下の家族』感想。

『パラサイト 半地下の家族』は第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初のパルム・ドールの受賞作品。

昨年公開された時に話題になっていたのも知っているし、私も観たいと思っていたけどコロナの影響で観に行くことなく、今回レンタルDVDで視聴した。

私は韓国ドラマには興味がないし、韓国のアイドルにも食文化にも興味がないので、イマイチ韓国と言う国を知らなかったのだけど、韓国映画凄いじゃないですか。予想以上の面白さに、ただただ驚いてしまった。

今回は大事な部分についてはネタバレ無しの感想です。

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パラサイト 半地下の家族

パラサイト
半地下の家族
監督ポン・ジュノ
脚本
  • ポン・ジュノ
  • ハン・ジンウォン
製作
  • クァク・シネ
  • ムン・ヤングォン
  • ポン・ジュノ
  • チャン・ヨンファン
出演者
  • ソン・ガンホ
  • イ・ソンギュン
  • チョ・ヨジョン
  • チェ・ウシク
  • パク・ソダム
音楽チョン・ジェイル
撮影ホン・ギョンピョ
公開
  • フランスの旗 2019年5月21日 (カンヌ国際映画祭)
  • 日本の旗 2020年1月10日

あらすじ

半地下で暮らすキム家は父ギテク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョンの4人家族。

全員失業中で、近隣のパスワードの掛かっていないWi-Fiを使ったり、近所のピザ屋の宅配箱を組み立てる低賃金の内職で生計を立てていた。

ある日、息子のギウの友人で名門大学に通う青年ミニョクが自分が留学する間、資産家であるパク家の女子高生ダヘの英語の家庭教師をやらないかとギウに提案する。

浪人中のギウは教える資格がないとためらうが、高い報酬のこともあって、大学生と偽って仕事を受けることを決意した。

ギジョンに名門大学の入学証書を偽造してもらうと、ギウは大学生のふりをして高台の高級住宅地を訪れる。

パク夫人も授業の様子を見学する中、物怖じしない態度でダヘの授業を終えたギウはパク夫人の信頼を得て、英語の家庭教師の仕事が正式に決まる。

帰り際、壁に息子ダソンの描いた絵が飾ってあることに目をつけたギウはパク夫人が絵の家庭教師を探していることを聞き出す。ギウは「一人思い当たる人物がいる」とパク夫人に告げる。ギウの「思い当たる人物」とは妹のギジョンだった。

後日、ギウの大学の後輩を装ってギジョンがパク家を訪れる。

人の良いパク夫人は疑うことを知らず、インターネットで調べた専門用語を使って達者に話すギジョンはすっかりパク夫人に信用され、ダソンに絵を教える先生として雇われる。

その夜、仕事を終えたパク氏が帰ってきた。パク氏は夜道を女性ひとりで歩かせるわけにはいかないと、運転手にギジョンを送るよう言う。

その車中、運転手はしつこく家まで送ると言うが、家を知られるわけにはいかないギジョンは断る。ギジョンは策略を巡らせこっそりとパンティーを脱ぎ、助手席の下に下着を押し込んだ。

翌日車からパンティーを発見したパク氏は運転手が自身の車をコカイン漬けのカーセックスに使ったと考え解雇する。

運転手がいなくなり困っているパク家に、ギジョンは親戚に良い運転手がいると言う。こうして、父ギテクも、パク家に運転手として雇われた。

パク家に仕える家政婦のムングァンは建築家の代からこの家で家政婦をやっており、食事を2人前食べる以外は欠点らしい欠点がない。

ムングァンがひどい桃アレルギーだと知ったギウはムングァンに桃の表皮の粉末を浴びせる。ギテクはパク夫人に韓国で結核が流行しているという話と、ムングァンを病院で見かけたという話を吹き込む。

アレルギーで咳き込むムングァンや血のついたように偽装されたティッシュを見せられたパク夫人はムングァンが結核だと確信し、解雇する。

新しい家政婦は必要だが誰でも良いわけではなく困っているパク氏に、ギテクはパク家に雇われる前にスカウトの話があったという架空の高級人材派遣会社の名刺を渡す。

名刺の連絡先はギジョンのガラケーにつながり、シナリオ通り年収の証明などの煩雑な手続きをアナウンスし信用を高めて送り込まれた母チュンスクは、パク家に新しい家政婦として雇われることになる。

キム家の4人は全員が家族であることを隠しながら、パク家への就職に成功した。

そして……

スパイコメディのような展開からの…

半地下のアパートに暮らすキム一家が首尾よくパク家で働くことなるまでの流れはスパイコメディのようで本当に面白い。

キム一家は貧乏ながらも生命力にあふれていて、不幸なのに不幸そうには見えない。

たぶん、なんだかんだ言いながらも家族が仲良く協力して暮らしているからそんな印象になるのだと思うのだけど、人を騙して仕事をゲットするなんて、まったく褒められた話ではないのだけれど、応援したくなってしまうから不思議だ。

キム一家は首尾よくパク家に潜り込むのだけど、どこかお人好しだし、仕事に対しては真面目に取り組んでいる様子があって、嫌いにはなれなかった。

登場人物に悪人がいない

『パラサイト 半地下の家族』には根っからの悪人は登場しない。

半地下で暮らすキム一家は、パク家の人達を騙して家族全員パク家で働くことになったけれど本質的なところは決してクズではなく、全員仕事をする能力を持っている。

息子ギウは大学に合格出来なかったまでも、パク家の娘の家庭教師が勤まるレベルの学力があったし、娘ギジョンは美大に合格出来なかったものの、画像を加工する技術だけでなく頭の回転も早い。父のギテクの運転技術は確かなものだし、母チュンスクも家政婦として立派に仕事をこなしている。

一方、パク家の人達もクセはあるものの、基本的に悪い人間ではない。

「金持ち喧嘩せず」ではないけれけど、パク夫婦は優しい人達で、お金持ち特有の天然っぽさはあるものの観ていて腹が立つようなレベルではない。パク夫婦の子ども達にしても、完璧な良い子からは程遠いものの「あの年頃の子どもはどこも似たり寄ったりだよね」と言う程度。

『パラサイト 半地下の家族』には基本的に悪人が1人も登場しない。

それなのに物語の後半以降は悲劇的な展開に突入していくのだ。話の中盤以降の展開はジワジワと怖くて最高に面白い。

半地下に暮らす人達の匂い

キム一家がパク家で働くようになった時、息子のダソンは同時期に就職してきた4人が同じ匂いをしていることに気づいた。

キム一家は「洗濯する時の洗剤をそれぞれ変えようか?」と話し合ったりするものの、決起良くその匂いは「半地下で暮らしている人間の匂いだからどうしようもない」と言う結論に至る。

私は全く知らなかったのだけど、韓国も諸外国と同じく格差社会が深刻らしい。

キム一家が暮らす半地下のアパートがある近辺は完全にスムラ街であるのに対して、パク家の人達が暮らす屋敷はテレビの「お宅訪問」に登場しそうな理想の家。

家政婦や運転手を雇えるだけの収入がある家族がいるかと思えば、キム一家のような家族もいるのが韓国の現状みたいだ。

『パラサイト 半地下の家族』には基本的に悪人が1人も登場しない。だけど人を憎まずにはいられない構図は存在していた。

パク氏は自分の運転手として働くギテクの仕事ぶりには満足しているにも関わらず、妻に「運転手の匂いが臭くてたまらない」と話をしている。

そしてこの「匂い」が後半の悲劇を引き起こしていく。

エンターテインメントを装った社会派作品

『パラサイト 半地下の家族』は展開の面白さからするとエンターテインメントの部類に入っても良い気がするけど、本質的には社会派の作品だと思う。

描き方は違うけれど『ジョーカー』や『わたしはダニエルブレイク』にも通じるものがあると思う。

後で調べたのだけど、キム一家が暮らしていた「半地下」は南北朝鮮の問題が大きく関係している。

韓国では北朝鮮との戦争に備えて防空壕の役割を果たす地下施設を設置することを義務付けていた時期があり、キム一家の暮らしていた「半地下」は元防空壕。人が快適に暮らせる環境ではなく、映画内でも大雨で浸水したり、トイレの汚水が流れ込んだりしてる。

2005年頃、韓国で半地下で生活をしていた人の割合は3.7%(58万6649世帯)。要するに40人に1人の割合。

現在は半地下で暮らす人は減っているようだけど、それでも1%以上(正確な数字は謎)の人が半地下で暮らしているとのこと。

『パラサイト 半地下の家族』を観るまで、私は韓国がそんな状況だなんて全く知らなかったので衝撃的だった。

映画にしても小説にしても出るべくして世に出ていくものなのだな…と痛感した。

私の中で韓国の映画とか映像系作品って恋愛ドラマのイメージしかなかったけれど、認識を変える必要があると反省した。韓国映画がこんなに成熟しているだなんて思ってもみなかった!

これからは韓国映画も気をつけてチェックしたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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