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氷点(上・下) 三浦綾子 角川文庫

三浦綾子と言えば『氷点』何と言ってもこの作品は外せない。

『氷点』は三浦綾子のデビューであり出世作。新聞の懸賞小説だったと言うから驚きだ。昔から何度となくドラマ化されているので、本を読んでいなくても筋書きだけ知っている人も多いかと思う。

何度も読んだ作品だけど、久しぶりに再読してみた。

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氷点

  

ザックリとこんな話
  • 物語の舞台は昭和21年(1946年)、旭川市。
  • 辻口啓造は、妻の夏枝が村井靖夫と密会中に、佐石土雄によって3歳の娘ルリ子を殺害される。
  • 啓造は夏枝への復讐として、殺人犯佐石の娘とされる幼い女の子(陽子)を引き取り、夏枝に養育させる。
  • 陽子が小学1年生の時、夏枝は陽子がルリ子を殺した男の子どもである事を知る。

妻が浮気していた時に娘が殺された医師が娘を殺した殺人犯の子を、それとは知らぬ妻に育てさせる事で妻に復讐すると言う物語。よくぞまぁ、こんな設定を思いついたものだと感心する。

感想

学生時代に読んだ時はヒロインの陽子が可哀想でたまらなかった。

ヒロイン視点で読んでいたので身勝手な大人達の言い分に腹を立て、あまりにも不遇なヒロインの運命に涙を禁じ得なかった。

しかし40代になってから再読すると大人世代に視点が移る。

大人になってから読んだら、感想も変わっているだろう……と思いきや、身勝手な登場人物達がよりいっそう腹立たしく思われた。

ドラマとしては最高に面白いのだけど、改めて読むとデビュー作だけあって色々と荒い。

子どもに対する親の心情などは「それはどうなんだろう?」と首を傾げてしまうし、啓造・夏枝夫婦は精神的に幼く感じられる。

昔は結婚が早かっただろうから「その年ならあんなもの」と言ってしまえばそれまでなのだけど。

三浦綾子の物語力

作者はきっと大真面目で書いていただろうし「原罪」という大きなテーマを掲げて書いた作品だって事は分かっているけれど、ヒロインに次々と襲い来る不幸とか、真実はそうじゃなかったとか、ヒロインを中心にドラマティックな話が展開していくのは吉屋信子の少女小説のようだと思ってしまった。

大人の少女小説ってところだろうか。この歳になって読んでも結構面白く読めてしまう。

キリスト教を信仰している人にとっては、深い作品なのだと思うけれど、そうでない私にとっては「可憐なヒロインを愛でる萌え小説」と言っても過言ではない。

可愛い女の子が一杯出てくるラノベが好きな諸兄は『氷点』を読んでみたら良いと思う。きっと「俺が陽子を幸せにしてやるぜ」と思ってしまうのではなかろうか。

色々と不真面目な事を書いてしまったけれど、この作品が三浦綾子の原点である事には間違いない。

三浦綾子の作品が「名作」と言われるのは、その思想よりもむしろ「物語力」だと思う。

「物語を楽しむ」とか「ドラマティックさを楽しむ」と言う意味でこの作品はかなりの名作だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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