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成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈 新潮社

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『成瀬は天下を取りにいく』は2024年本屋大賞ノミネート作品(そして感想を書いていね途中にノミネートから大賞受賞作になっている)

最近、やたら書店で平積みされていて、新聞の下半分を使った広告なんかも目立っていたので本のタイトルだけは覚えていて気になっていた。

気になっていた…けれど漫画ちっくな表紙絵を見て「あ~はいはい。ラノベ乙であります」と今まで食わず嫌いをしていたのだけど、サブスク利用しているAudible版が出てきたので「Audibleだったら聞いてみるか」と聞いてみたところ、めちゃくちゃ面白くて元気が出た。

なお今回はネタバレに対して1ミリも配慮しない感想を書くのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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成瀬は天下を取りにいく

ザックリとこんな内容
  • 物語の舞台は滋賀県、大津市膳所。
  • 成瀬あかりはは2020年、中2の夏休みの始まりに成瀬はコロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映る…と言う志を立てる。
  • M-1に挑戦たり、坊主から髪を伸ばす…言う長期実験に取り組む成瀬あかりに翻弄される人達と成瀬あかりの成長を描く。

感想

『成瀬は天下を取りにいく』とりあえず滋賀県は無条件で読んでおいても良いと思う。なんか滋賀県愛に溢れていて微笑ましかった。私自身は大阪府民だけど、大阪と滋賀は近いこともあって、滋賀は馴染のある土地だし、何より滋賀出身の知り合いも多いので滋賀の人から聞いていた「滋賀あるある」が随所に散りばめられていて楽しかった。

物語の題名から推察されるように『成瀬は天下を取りにいく』は「成瀬あかり」という少女が主人公。なんとなくだけどノリとしては一斉を風靡したライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』と似ている気がする。『涼宮ハルヒの憂鬱』も破天荒な涼宮ハルヒを中心とした物語けど『成瀬は天下を取りにいく』も同じ様式。

ただ『涼宮ハルヒの憂鬱』において涼宮ハルヒは最初から最後まで完璧超人で、彼女の周囲にいる人達とは涼宮ハルヒに振り回されるだけなのに対して『成瀬は天下を取りにいく』は成瀬あかりも周囲にいる人達も人間的に成長しているところに好感が持てる。

成瀬あかりは破天荒な人物だけど決して完璧ではない。失敗することもあるし、自らの行動を顧みて思い悩んだりもする。そして彼女の周囲にいる人達は最初の頃こそ成瀬に振り回さているものの、それぞれにちゃんと成長している。

破天荒系の主人公ってムカつくことが多いのだけど、成瀬あかりは自身も痛い目に合ったりしているし「自分の対応は間違っていたのかも」と心悩ませたりするところがめちゃくちゃ可愛い。

物語のエピソードは全て性善説的な悪意のないものなの安心して読むことが出来るのも良い。

このタイプの小説に自分がここまでハマるとは思っていなかったので自分自身、ビックリしているのだけど「じゃあ、どうしてここまでハマってしまったか?」と言うと、私に高校生の娘がいるから…ってところが大きい。

特に成瀬が膳所高校に入ってからのエピソードは自分の娘から聞かされるの高校のエピソードと重なるところが多かったので「他人事」ではなく身近な出来事のように感じられてしまった。団塊ジュニア世代の生きた高校時代と、現代の高校生のノリはちょっと違うのだけど、違うからこその面白さがあった。

『成瀬は天下を取りにいく』はすでに続編も出ているそうなので、続編も是非読んでみたい。そしてそれより先にあと何周かは読んでみたいし、ちょっと元気が出ない時などに読み返したいと思う。

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