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家族じまい 桜木紫乃 集英社

『家族じまい』は題名の通り、家族にまつわる物語。最近「墓じまい」だの「家じまい」だのと言った言葉が爆誕していて、それを文字った題名だと思う。

昨今の流行りを踏まえて狙って書いたと思うのだけど、私はちっとも面白くなかった。垣谷美雨なら上手く書けた気がするテーマだけど、桜木紫乃の作風に合っていないのだ。

正直、似たようなテーマの作品なら少し前に読んだ冨士本由紀『愛するいのち、いらないいのち』の方がしっかり練り込まれていて100倍面白かった。

桜木紫乃は好きな作家だけど今回も前回読んだ『緋の河』に続いてディスり気味な感想になるので、ファンの方はお覚悟のほどをお願いします。

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家族じまい

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集英社
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ザックリとこんな内容
  • 親の認知症と老人介護・親子関係をテーマにした、連作形式の長編小説。
  • 5章仕立てで章ごとに主人公が変わっていく。それぞれの章の主人公、智代、陽紅、乃理、紀和、登美子は血縁関係等、少しず繋がりを持っている。

感想

桜木紫乃。そろそろ、ちゃんとした長編小説書いて欲しい。

『緋の河』は長編小説だったけど、モデルありきの半自伝的小説だった。そしてこの『家族じまい』は一応長編小説の体をなしているけれど「どこを切り取っても読めますよ」的な連作形式で複数主人公方式。

思うに……桜木紫乃は登場人物がわんさか出てくる作品よりも、1人の人生を掘り下げる系か、そうでなければ物語の起伏と勢いで読ませる作品の方が向いているのだと思う。

そして大きなテーマである介護だの老いだのってテーマが掘り下げ切れていない気がする。最近は介護をテーマにした作品が多いのだけど、どの作品も切り口が面白かったり、実体験がベースにあったりして、重厚な仕上がりになっている物が多いだけに残念感が残ってしまった。

ものすごく好意的考えると「希薄な親子関係しか形成できなかった親子だから仕方がない」って風にも取れなくないけど、ツッコミどころが多過ぎてリアリティがないのだ。

あと構成も雑と言うか適当過ぎた。特に4章の紀和の話。わざわざ本筋と関係ない紀和を登場させる必要はあったのかと問い詰めたい。

「夫が認知症の妻を伴っての旅行をする」って設定は分かるのだけど、サックス奏者をガッツリ絡めて「音楽が云々」なんて話を入れる必要があったのかと。

ヒロインを5人設定したことで1人1人の掘り下げが出来ていないし、その中で認知症だの老人介護だの親子関係だのを突っ込んでくるのは無理過ぎた。

私は面白くなかったけれど、良かった探しをするのであれば「1つ1つの話が短いし、読みやすい文章なのでアッと言う間にサクサク読めます」ってことくらい。

次の作品に期待したい。

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白い木蓮の花の下で
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