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緋の河 桜木紫乃 新潮社

私の中で桜木紫乃は「とりあえず新刊が出たら読む作家」なので手にとってみた。

『緋の河』はカルーセル麻紀がモデルとの小説。「えっ? 桜木紫乃がどうしてタレント本書くの?」とイマイチ乗り気になれなかったのだけど、twitterを見ていると評判が良さげだったので「読まねば!」と図書館に予約した。

……か。正直、ちょっとイマイチだった。

桜木紫乃は好きだけど、なんでも好きって訳じゃないし、どれを読んでも絶賛…って訳にはいかない。

今回はディスり気味なので、桜木紫乃ファンの方には最初に謝っておきます。

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緋の河

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新潮社
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ザックリとこんな内容
  • カルーセル麻紀をモデルにした小説。伝記とも、ルポルタージュとも言い難い感じ。
  • 主人公の秀男(カルーセル麻紀)は自分の性に違和感を抱く少年。
  • 秀男の家は兄、姉、秀男、弟妹がいる貧乏人の子沢山。
  • 幼い弟が病死した事をキッカケに秀男は母親から見放されたような孤独を覚えるようになる。
  • 成長した秀男は札幌のゲイバーでゲイボーイとして働きはじめる。
  • 自分の生き方を見つけた秀男は転々としながら芸を磨き、女性としての美しさを追い求めていく。

感想

面白かった…と言えばそうなのだけど、小説としてはちょっと微妙かも。

実在の人物をモデルにしてただけあって書き難い部分があったと思うのだけど、通して読んだ時のバランスの悪さが気になった。

主人公の秀男がゲイボーイになるまでの物語とゲイボーイになってからの物語は「別の話」と言っても良いほど雰囲気が違う。

秀男が釧路で過ごした幼少期から高校生までは三浦綾子が書きそうな雰囲気の純朴な青春小説なのだけど、後半はありがちなタレント本のようになってしまっている。

個人的には前半部の方が断然好きだ。

秀男が人格を形成していくベースが釧路培われていたのだな…ってことが分かるし、性同一性障害(当時はそんな言葉もなかった)で生き難いながらも人に恵まれていて、爽やかで気持ちが良かった。

後半は秀男の出世物語。

「色々あるけど頑張りました」って感じなのだけど、苦悩や葛藤が少なめで、いまいち秀男の心情が伝わってこなかった。

きっと秀男のモデルであるカルーセル麻紀がそういう人なのだとは思うのだけど、迷いを持たずひたすら前に突き進んでいくだけの人に共感を寄せるのは難しい。

個人的に物足りないと思ったのは、後半部分に恋愛要素が全く描かれていなかった…ってこと。

前半部分にはほのかに想いを寄せた人の事などが書かれいてたけれど、ゲイボーイになってからは恋愛については全く描かれていない。

実在の人物をモデルにしているだけに何某かの配慮があったのだろうな…とは思うものの、小説としては物足りない。

後半部分は全体的に駆け足になっていて、秀男の心の動きはおざなりになっている。

しかしあの時代に故郷を飛び出してゲイボーイになり、性転換手術を受ける…って事がどれだけ大変なのかは想像出来る。あの時代にあれだけのことをやり遂げるのは大変だっただろうと思う。

カルーセル麻紀は魅力的な努力家で凄い人なんだ…って事は伝わってきた。

だけど、桜木紫乃が書いた小説の中では「う~ん。これはちょっと」な部類に入ってしまう。

話の本編とは関係ないけれどね個人的に面白かったのは秀男が三島由紀夫の『禁色』を読んで「こんな世界や生き方があるんだ」と気付いていくところ。

当時のことはよく知らないけれど、三島由紀夫の与えた影響って大きかったんだなぁ…と。美輪明宏も三島由紀夫が大好きだったっぽいし。

桜木紫乃は大好きな作家さんではあるけれど、前回読んだ『光まで5分』もガッカリだったし、今回の『緋の河』も微妙に残念な感じ。

次の作品に期待したい。

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