第161回の芥川賞、直木賞の候補作が発表された。
とかく読書と言う趣味は陰気なものと思われがち。
実際「アウトドアが趣味です」とか「音楽やってます」とか「スポーツにハマってます」とかって趣味からすると、基本ボッチで行うものだし「フェス」的な物もないので、いつだって静かだ。
しかし芥川賞と直木賞の発表は祭り感がある気がする。
読書とか文学に興味の無い人にとって、芥川賞も直木賞もどうでも良いものだと思う。せいぜい受賞作がテレビ化、映画化されて流行ったら「へぇ~。これって直木賞取ってたんだ~」くらいのものだろう。
だけど読書好きにとっての芥川賞、直木賞の発表は一大イベント。
未知の作家が受賞して「こんな人いたんだ? せっかくだから読んでみるか…」と未知の作家との出会いにつながることもあれば、ずっと推していた作家が受賞することもある。
本が売れない昨今、芥川賞と直木賞の箔を付けるって、大事なことだと思う。
芥川賞や直木賞を取ったかものの、あっさりと消えてしまう作家さんも多いけれど、芥川賞、直木賞を受賞して一気に飛躍する作家さんもいる。
出来れば自分が推してきた作家さんが受賞して欲しい。
「小説で食べていく」って事が難しい世の中なだけに「受賞して、安心して創作に取り組む事が出来る環境を手に入れて欲しい」と強く思う。
第161回の直木賞は激熱!
今期の直木賞は私的に激熱なラインナップ。
何しろ候補者か全員女性。しかも推し作家か何人も入っていると言う最高に私特なシチュエーション。候補に上がっているのは以下の6作品。
- 朝倉かすみ 「平場の月」(光文社)
- 大島真寿美 「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」(文芸春秋)
- 窪美澄 「トリニティ」(新潮社)
- 澤田瞳子 「落花」(中央公論新社)
- 原田マハ 「美しき愚かものたちのタブロー」(文芸春秋)
- 柚木麻子 「マジカルグランマ」(朝日新聞出版)
私は時代小説はほとんど読まないので、澤田瞳子の作品については全くの未読。しかし、あとの6人ついては、なんだかんだ言って読んでいる。
個人的に推したいのは朝倉かすみと窪美澄。
朝倉かすみは『田村はまだか』を読んでから、なんとなく追いかけてきた作家さん。「こりゃ凄い!」と思える作品もあれば「ん~。イマイチ…」と思う作品もある。
構成力に長けた作家さんで、女性作家さんに多いスイーツ路線ではない匠な感じが気に入っている。
そして何より直木賞候補に上がっている『平場の月』は朝倉かすみ最高の作品だと思うだけにに「どうせ直木賞取るなら、これで取って欲しい! あげるなら今でしょ?」と持っている。
芥川賞も直木賞も「えっ? どうしてこの作品なの? どうせあげるなら昨年の候補作の方がずっと良かったのに…」となるパターンが多いのだけど、本来ならその作家が1番脂の乗っているときに受賞して欲しいと思う。
窪美澄はなんだかんだ言って好みの作家さん。酒鬼薔薇事件を扱った『さよなら、ニルヴァーナ』意外の作品は評価している。
『さよなら、ニルヴァーナ』…あれだけは駄目だ。倫理的にアウトだと思うし、作家として完全に黒歴史だと思う。
ただ、それ以外の作品はレベルが高いし、何より一作ずつ成長してるいのが分かるだけに、今後も期待できると思う。
はじめて窪美澄の『晴天の迷いクジラ』を読んだ時は、ここまで成長するとは思ってもいなかった。
そして大島真寿美、原田マハ、柚木麻子は長く頑張っている中堅どころの女性作家と言う印象。
誰が直木賞を取っても文句はないし、むしろ「そろそろ取ってもらってもいいんじゃないですか?」くらいに思っている。
私が今回、直木賞候補に上がっている女性作家さん達の中で、特に朝倉かすみと窪美澄を推しているのは単純に好みの問題。ファンってのはしょせん、そんなものだ。
ちなみに芥川賞は、今村夏子が気になっている。
今村夏子は初めて読んだ『あひる』が気にいっている。芥川賞候補に上がってるい『むらさきのスカートの女』については、図書館で予約中。未読なので語る事が出来ないのが残念。
第161回の直木賞。誰が受賞するのか本当に楽しみ!
「朝倉かすみ~頼むぅ~」って気持ちで一杯だけど、私が決める訳ではないものなぁ。ドキドキしながら発表を待ちたいと思う。