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トリニティ 窪美澄 新潮社

我を忘れて夢中で読んでしまった。働く女性にオススメしたい作品。

昨今は女性の社会進出を後押しする動きがあったり、イクメンなんて言葉が出現したりして、昔と較べると女性が世の中に出て働く時代だと言われているけど、それでも「女性が思い切り働ける社会」だとは言い難い。

女性なら誰でも「どうして女ばかり家事だの育児だのしながら働くことを求められるのか?」と言う不満を抱く瞬間があると思う。

『トリニティ』は女性なら「ああ…分かる…」と共感する部分が多い作品なので、女性は面白く読めると思うのだけど、男性が読んで面白いかどうかは分からない。

ただ、私はとても面白かった。

今回はナチュラルにネタバレを突っ込んでいくので、ネタバレNGの方はご遠慮くだい。

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トリニティ

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ザックリとこんな内容
  • 「男、仕事、結婚、子ども」のうち、たった3つしか選べないとしたら?
  • 50年前、出版社で出会った団塊の世代と呼ばれる3人の女が主人公。
  • 1人はイラストレーター。1人はフリーライター。1人は事務職からの専業主婦。
  • タイプの違う女の生き方を鮮やかに描く。

感想

『トリニティ』は団塊の世代の人達が現役だった時代が描かれている。雑誌がバンバン創刊されて、働く女が増えてきた時代。

3人の主人公達は育ってきた環境も生き方も違う。

  1. 妙子 母親に捨てられて他人に育てられたイラストレーター
  2. 登紀子 母娘3代物書きの家。裕福に育ったフリーライター
  3. 鈴子 佃煮屋の娘。雑誌編集部の雑用係。結婚して専業主婦になる。

それぞれの接点は「同じ雑誌社で働いていた事がある」と言うことだけ。3人は全く似ていないし、熱い友情で結ばれている訳でもない。

しかし3人とも心の中に鬱屈した思いを抱いている。

1967年12月21日に起きた新宿騒乱事件で3人がどさくさ紛れに石を投げ、自分の気持ちをぶちまける場面がある。

「馬鹿な男どもの下で働くななてもううんざり!」

「ふざけるな! 男どもふざけるな! 女を下に置くな!」

「男の絵なんか描きたくない! 好きな絵を好きなだけ描きたい!」

……思わず心が熱くなってしまった。

特に投石の後で「自分は才能も何もないから結婚して主婦になるしかない」と考えている鈴子が思いをぶちまけ、スランプで煮詰まっていた妙子に「ここにいる女の子を描いてください」とノートとボールペンを渡す場面は最高だった。

共に石を投げた3人だけど、その後は全く違う方向に歩いていく。

3人とも順風満帆の人生ではなく苦難の連続だったのだけど、それでも懸命に生きていく。誰が正しくて、誰が間違っている…と言うのではなくて、3人とも「そんな生き方」しか出来なかったのだと思う。

そして作品のテーマになっている「トリニティ」と言う問題。

「男、仕事、結婚、子ども」のうち、たった3つしか選べないとしたら?

……と言うことについてだけど、これはシビアな形で表現されている。

残念ながら「仕事と子ども」は両立しない。パッと見では上手くいっているように見えても、子どもの側から「立派な母で尊敬していますが自分は母の犠牲になっていました」的なオチが描かれている。

これは働く女性が悩むところだと思う。そもそも全部パーフェクトにこなすなんて無理過ぎるし。

「雑誌を作る」「クリエイティブな仕事をする」と言うところがメインで物語が進んでいくため、どうしても妙子と登紀子の話が面白くて、鈴子はイマイチ出番がないのだけど鈴子にはちゃんと大きな役目を作ってあった。

『トリニティ』の中で鈴子が受け持った役目については、興味がある方は自分で読んで確かめて戴きたい。

何もかもスッキリするようなハッピーエンドではないけれど、明るい未来を期待したいと思えるラストで読後感は悪くない。

読んでいて心熱くなる作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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