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わたしの宝石 朱川湊 文藝春秋

中年はこの本を読んではいけないと思う。何故ならこの本は本気で中年を殺しにかかっているからだ。

久しぶりの朱川湊。朱川湊ワールドを思い切り楽しませて戴いた。

中年が主人公の短編集で中年でなくても楽しめると思うけれど、中年はより楽しめるのではなかろうか。昔のアイドルとか、団地とか、カセットテープとか懐かしワードがてんこ盛り。

アイドル話はあまり分からなかったけれど、私もテレビの前にラジカセを置いて録音した経験のある世代なので、懐かしさのあまり「うおおっ」と叫びたいような気分になってしまった。

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わたしの宝石 朱川湊

「僕らの愛は、悲劇的な終わり方をした」憧れの女性との幸福な結婚生活に潜んでいた切ない真実(「彼女の宝石」)、大切な人たちの首元にふと現れる不思議なモノ(「さみしいマフラー」)他、アイドルへの一途な愛、巨大でピュアで惚れ惚れするような愛の姿が、一つ一つ心に染みわたる。名手が放つ感動直球!短編集。

アマゾンより引用

感想

のっけから大絶賛している風なのだけど、物凄くアザトイので、読んでいて鼻白らむしまう人もいるかと思う。

実際、私も収録されている作品の全てを面白いと思った訳ではないのだ。中には「それは、どうなの?」と突っ込んでしまいたいような話もあったし、そもそも全く同意できないし好きでもなんともない話も含まれていた。

そんな中、韓国の女性アイドルを好きになった独身中年男の物語『ボジョン、愛してる』と、柔道家の父を持、自分の容姿にコンプレックスを持ちつつも明るく真っ直ぐ生きる女性が主人公の『ポコタン・ザ・グレート』はとても好きだ。

私は女性なので『ボジョン、愛してる』の主人公とは性別が違うし状況も違うけれど、夫と出会うまでは「一生結婚しないだろうな」と思っていて「一般的には恋愛対象ではない人」を好きななる気持ちはよく分かる。

彼の生き方には泣けてしまった。生涯をかけて「好きだ」とか「愛している」と思う対象のある人は幸せだと思う。

他人から理解されなくても、一見すると不幸そうに見えてもだ。主人公は「愛し抜いた」のだと思うし、その心意気にグッときた。

『ポコタン・ザ・グレート』は、女性として読んでいて辛い作品でもあった。

世の男性の中には容姿の悪い女性に対して酷い言葉を投げつけてくる人が多い。

平均か、平均以下の容姿しか持ちあわせていない女性なら、男性からの心ない言葉に嫌な想いをした事があると思う。私もその中の1人だ。

主人公のポコタンはそれでも健気に生きていて「誰かポコタンの良さを分かってやってくれぇ」と祈るような気持ちで読み進めていた。ヲ

チは書かないけれど、ご都合主義と言われてもこういうラストは大好きだ。

最近、作者の作品はラノベ的な軽い物が多かったので今回の短編集は満足させてもらった。この本とは全く関係ない話だけど『わくらば日記』『わくらば追慕抄』の続きはもう書いてくれないのだろうか?

私は未練がましい人間なので、あの姉妹のその後が気になって仕方がない。あのシリーズはファン付いていそうなのたけど、そうでもないのだろうか?

本の感想から脱線してしまったけれど、今回は良い作品を読む事が出来て満足している。

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白い木蓮の花の下で
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