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プラネタリウムのふたご いしいしんじ 講談社

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お話自体は、それほど面白くもないのだけど「やっぱり、いしいしんじだなぁ」と思った1冊だった。

いま、私はいしいしんじ作品と蜜月中なので、彼の文章への評価は、かなり甘い目になっているのだが、それでも『ぶらんこ乗り』とか『麦ふみクーツェ』に較べると、いまいち感は拭えない。

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プラネタリウムのふたご

ザックリとこんな内容
  • 星の見えない村のプラネタリウムで拾われ、彗星にちなんで名付けられたふたごの物語。
  • ひとりは手品師に、ひとりは星の語り部になった。
  • ふたごはそれぞれの運命に従っ、自分の役目を果たしていく…

感想

いしいしんじの作品は、よくよく読み込んでいくと「この言葉のために読んでたのかしら」というほどに、ストーリーよりも主張ありきな感じがする。

今回の作品だと、泣き男が息子に語った言葉だと思う。

「でも、それ以上に大切なのは、それがほんものの星かどうかより、たったいま誰かが自分のとなりにいて、自分とおなじものを見て喜んでいると、心から信じられることだ。そんな相手がこの世にいてくれるってことだよ」

「そんな相手がこの世にいてくれる」ってフレーズにやられてしまった。

『ぶらんこ乗り』の時も感じたのだが、作者の書くものは「誰かと繋がっていられる幸せ」や「誰かが喜んでくれる幸せ」の2点に尽きると思う。

その繋がりは、恋だったり、情だったりと様々だけど「人間っていいなぁ」と思わせてくれる。

しかも西洋的な「愛」とか「LOVE」って感じではなくて「大切なあなた」って雰囲気。その辺が私のツボをグイグイと突いてくれるのだ。

……などと、超絶賛な事を書いているけれど、この作品だけで言うなら「まぁまぁ」ってところ。

ちょっと、やっつけ仕事な感じがした。丁寧さに欠けると言うか。荒っぽくっても、いっそ『トリツカレ男』くらい抜きに出ていれば良かったのだけど。

ちょっと物足りなかったので、マイ・ナンバーワンの『ぶらんこ乗り』でも読んで口直しをしようと思う。

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