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福祉の仕事は時に理不尽ではあるけれど。

夫とニュースを見ていたら、とある裁判が取合上げられていた。その内容を揶揄するつもりはないので、詳細は伏せるけれど、障がい者の男性が利用していた事業所を訴えた…って内容だった。

ニュースを見ていた夫は「そんなの無理言うな…って話だろ? いくらなんでも、それは断られるって」と憤慨していたけれど「あ。それ、たぶん事業所が負けるわ」と私。「なんで?」と不思議がる夫に福祉の仕事の考え方を説明した。

福祉の仕事って「断る」とか「拒否する」て事が基本的にタブーとされている。

例えば…の話。私が現在働いている放課後等デイサービスの場合、放課後等デイサービスと言っても事業所によって特色があって、比較的障害の軽いお子さんをメインで運営しているところもあれば、私の勤務先のように重度の障害を抱えたお子さんがメインの事業所もある。

理想を言うなら、それぞれの事業所の方向性に合ったお子さんが利用してくれると嬉しいのだけど、だからって「うちは車椅子のお子さんは引き受けません」とか言っちゃいけない事になっている。(実際には言っちゃう事業所もあるけど)

これは障がい者関係じゃなくて、高齢者介護も同じこと。「利用できる枠が満員なのでお引き受けできません」ってのはアリだとしても「介護度が低い(高い)人はお引き受けできません」と利用者を選ぶことはできない。

それとちょっと似ている話だけど、例えば利用者さんかが暴力を振るう人だったとしても、飲食店のような「出禁」なんて事はできない。

他害(人を叩いたりする)が酷い場合も受け入れる。「叩いたり、蹴ったり、暴れたりする人はお引き受けしません」なんて事は口が裂けても言わない。(実際には言っちゃう事業所もあるけど)

介護とか福祉の現場で働く人は「利用者さんに暴力をふるわれた」なんて普通にあるある事例。私も叩かれたり、髪を引っ張られたり、突撃されてひっくり返った事くらいなら普通にある。

「理不尽だなぁ…」と思うのだけど、こればかりはどうしようもない。

もし事業所が利用者さんをより好みするようになったら、どうだろう?

高齢者にしても障がい者にしても引き受けてくれる人がいなければ、家族が介護しなければならない。家族のいない人は野垂れ死にしたり、街に出て暴れてしまう…なんて可能性も出てくる。

「そうなったら社会が健全に回りませんよね?」って話。

親友のFは生活保護のケースワーカーをしているけれど、それこそ面倒臭い人のオンパレードとのこと。でも拒否することはできないし、それ相応に対処していく必要がある。

世の中には「生活保護を受けるヤツは死ね」みたない事を言う人も多いけれど「じゃあナチスみたいにガス室送りにする?それとも絞首刑?で、誰がそのスイッチ押す訳?」って話だ。

……福祉業界ってものすごく理不尽。

そして何かって言うと「税金で食べてる奴らの世話なんて馬鹿げている」みたいな言われ方をしちゃうのも理解している。だけど日本は「高齢者も働けない人も障がいのある人も一緒に暮らしていきましょう」って事になっているのだから、そうするしかない。

福祉の仕事は他の産業のように利益を生み出さないけれど、その制度が無くなっちゃったら社会が正常に回らなくなってしまう。だからこそ、なんだか理不尽な取り決めがあって、業界で働く人達はそのルールの中で働かなければならない。

福祉業界に人が集まらない理由って、低賃金等、待遇の悪さもあるけれど、他の業界にはない理不尽さを飲み込んでいかなきゃいけない…ってところも理由の1つじゃないかな…って思っている。

せめてこの業界で働く人達の待遇がマシになれば良いんだけどなぁ…と結局、そこに行き着いてしまう。

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放課後等デイサービス
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白い木蓮の花の下で
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