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医療的ケア児が放置されて亡くなった事件について。

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ちょいと前に医療的ケアを受けている8歳の女の子が母親が留守の時に亡くなって母親が保護責任者遺棄致死で逮捕された…って事件があった。

私のTwitterアカウント界隈でも色々な意見が流れていて、私も色々と思うところがあったけれど騒ぎの中でアレコレ言いたくはなかったので、ここにそっと私の意見を記しておく。

私の働いている職場(児童発達支援センター)でも医療的ケア児がいる。喀痰吸引が必要なお子さんだったり、酸素ボンベが必要なお子さんだったり、胃ろうをしているお子さんだったり。医療的ケア児のお子さんは家族か資格を持った人(医師とか看護師・研修修了者)しかケアをすることができない。

喀痰吸引については本当に過酷で始終気をつけなければなない訳だけど、逮捕された母親はある意味「8年間も休みなくケアをし続けて我が子を生かし続けてきた人」とも言える。

Twitter界隈では「医療の進歩によって本来なら助からなかった子が助かっちゃうから、こんなことになるんだ」「行き過ぎた医療はいかがなものか?」って意見が多くて、その意見自体は「ほんとそれな」ではあるものの正直そんなご意見クソの役にも立たない。

だってさ…彼らはすでに生きているんだもの。もういるんだよ。そこに。

ものすごく過激な話になるけど「世の中の役に立たないヤツは死んでくれ」って思想を実行しようとした人が実際にいたことを忘れちゃいけない。

ユダヤ人迫害でユダヤ人を大量殺戮したヒトラーはユダヤ人だけでなく、障害者も大量殺戮していた。

「だけど、それって倫理的にどうなの?」って話。「役にも立たない人は死ね」って考え方は、なんか寝覚めが悪くて嫌だなぁ~って思った人類は「障害者も生きていける社会を作ろう」って方向に舵を切ったのだ。

日本では優生保護法が否定され「障害者にも妊娠出産をする権利がある」ってところまで認めている。

「障害者の権利を社会の中でどう扱っていくのか?」って問題については、それぞれ意見もあるだろうし、どの考えが正しいのは分からない。だけど少なくとも国の法律で「こうしましょうね」って決まったことはやるしかないのだ。

  • 障害者を切り捨てるのは感じ悪いから嫌でござる
  • 税金を投入して障害者の面倒みるのは嫌でござる

……気持ちは分かるけれど嫌だ嫌だと駄々をこねたところで何も進展しない。

医療ケア児の生きる権利を認めるのであれば国が責任を持って彼らが生き続けることが出来る体制を作りあげていくしかない。それが基本的人権の尊重ってものだ。

そして私はこの類の事件がおこるたびに思わずにはいられない。

喀痰吸引だったり胃ろうを施されている老人の場合、この類の事件はめったに聞かない。だって老人は手厚く保護されているから。ゴリゴリに介護度が上がってくれば、なんだかんだ言いいつつ特別養護老人ホームに入れたりする。医療ケア児についても老人並のサポートがあれば、こんな事件は起こらないのでは?

8年間、医療ケアの娘と共に生きてきたのに娘を放置せざるを得なかった母の気持ちを思うといたたまれない。どれだけ大変な8年間だったんだろう。私は彼女を責めることができないし、むしろ少しでも減刑してあげ欲しいと思ってしまうと共に、亡くなったお子さんの御冥福をお祈りさせていただく。

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