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象の皮膚 佐藤厚志 新潮社

『象の皮膚』は第34回三島由紀夫賞候補作。個人的に三島由紀夫賞の受賞作とか候補作は私の好みの作品が多いので手にとってみた。

主人公は子どもの頃から酷いアトピー性皮膚に悩む非正規雇用の書店員。私自身、本好きなので「書店員の話」ってことで期待して手に取ったのだけど、まったく好みと合わなかった。

今回ネタバレを含む感想になるのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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象の皮膚

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ザックリとこんな内容
  • 主人公の五十嵐凜、非正規雇用で働く勤続6年目の書店員。
  • 凛は子どもの頃から酷いアトピー性皮膚炎に悩んでいて、家族からも友人からも疎まれながら生きてきた。
  • そんな中、東日本大震災が起こって……

感想

まったくもって私の好みの作品ではなかったけれど、なかなかパワフルな作品でリアリティが凄かった。特に前半の幼少期から学生時代にかけてのエピソードは読んでいて心が病みそうになってしまうほど。

アトピー性皮膚炎って見た目的な部分で悩む人が多く「いじめられる子もいるんだろうな」と想像することは出来ると思うのだけど、いじめの描写に本気でムカついてしまった。

もし我が子がそんな扱いを受けたら、私だったら間違いなく学校にカチ込むよね! 学校がどうにもならないなら教育委員会に陳情するし、何なら弁護士雇って大事にするまである、

……だけど、残念なことに主人公の両親は主人公の味方になってくれるどころか、その反対。主人公は家族からも学校や友達からも理解されないまま成長し、見事なまでに陰キャ化してしまう。

……分かるよ。分かる。人間、あまり酷い目にあうと陰キャ化してしまうし、心が萎縮しちゃうの。

このタイプの話って「色々あったけど主人公は成長したし、理解者を得ることが出来たしホント良かったね」ってなることが多いのだけど『象の皮膚』はそうじゃなかった。東日本大震災で追い打ちをかけてくるのだから恐れ入る。

作品の95%くらい陰気で辛い展開が続き、そして唐突なラストが訪れる。

「やっぱりテーマになってるアトピー性皮膚炎を吹っ切らなきゃね」ってことなのだと思うのだけど、主人公は深夜の公園で唐突に裸になり自己を開放する。

外で全裸になる → 自分を解き放つ → アトピー性皮膚炎からの脱却

…って解釈だと思うのだけど、若い女性が公園で全裸になるだなんて、いくらなんでも酷過ぎる。酔っ払って全裸になった元SMAPの草なぎ剛を思い出してしまった。

『象の皮膚』が三島由紀夫賞の候補に上がったものの、受賞に至らなかったのはなるほど納得。

いじめの描写とか、家族との関係などはムカつくほどに丁寧に描かれていたのに、突然の全裸は展開が雑過ぎる。主人公を全裸にしたいなら、納得出来るエピソードや展開を用意してくれないと流石に無理がある。

良い部分もあっただけに残念だったし、とりあえず作者の作品は「しばらく読まなくてもいいかな」くらいには思ってしまった。

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白い木蓮の花の下で
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