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交通誘導員ヨレヨレ日記 柏耕一 フォレスト出版

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図書館で表紙に惹かれて手に取った。

「気楽に読み流せる漫画エッセイかな?」と思ったのだけど、内容的には表紙絵のイメージとは違った普通のエッセイ。

作者は元編集者兼ライターの肩書を持っているけれど、正直言って上手い文章とは言い難い。エッセイとして上質だとは言わないけれど、自分の知らない業界に興味があるなら読んでみても良いかも知れない。

少なくとも私はかなり楽しませてもらった。

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交通誘導員ヨレヨレ日記

ザックリとこんな内容
  • 73歳で交通誘導員(警備員)をしている作者の日記
  • 「最底辺の職業」と呼ばれる警備の仕事をチラ見出来る1冊
  • 誘導ミス、意地悪な上司、パワフル過ぎる女性警備員…様々なエピソードと共に警備員の仕事を描く。

感想

一般的に警備員は最底辺の仕事…と言われているけれど、夫は「定年退職したあと、場合によっては警備員とかもアリかな~」なんて言うことがある。

実際、街中で働いている警備員は高齢者が多い。

サラリーマンが定年退職したあとは悠々自適の年金暮らし…なんて時代もあったようだけど、私達が生きる時代はそうじゃない。年金なんてアテにならないし、子育て世帯の教育費は上がっていく一方。私も夫も働ける間はギリギリまで働く覚悟は出来ている。

警備員は高齢者でも出来る仕事ではあるけれど、実のところその実態はよく知らない。

『交通誘導員ヨレヨレ日記』は「高齢者が出来る警備員の仕事ってどんな感じなんだめろう?」って好奇心を満たしてくれた。

警備員の仕事をしたことのある人なら知っているだろう話ばかりだと思うのだけど、警備員業界を知らない人間にはいちいち面白かった。

警備員に資格(1級とか2級とかあって現場によっては資格保有者の配置が必須)があるなんて知らなかったし、自分が想像していた以上に沢山の高齢者が働く仕事だ…ってことも知らなかった。

特に印象的だったのが「余計なお世話かも知れないけれど、失業してホームレスになったり、漫画喫茶を転々としている人は警備員の仕事をすれば良いのに」と書かれていたこと。

警備員の仕事も人手が足りないのか、家がない人には寮もあるらしく「楽しい仕事ではないけれど、生活を立て直すための手段として悪くない」と言うことが書かれていた。

実際『交通誘導員ヨレヨレ日記』に登場する人達はお世辞にも豊かな暮らしをしているとは言えないけれど、それでもドッコイ生きている。

この作品を読んで残念だったのは、私は運転免許こそ持っているものの実母の病院送迎くらいしか運転しないので、作品中に書かれている交通誘導の状況がピンとこなかった…ってこと。

たぶん、車の運転が好きな人や、土木系の工事の仕事をしている人が読めば作品の中に書かれている失敗談や、腹立たしい話も「ああ…分かるぅ」と共感出来ると思う。

『交通誘導員ヨレヨレ日記』は大絶賛出来るような作品ではないものの「世の中には色々な仕事があるんだな」と、好奇心を満たしたり、視野を広げると言う意味ではオススメしたい1冊。

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