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介護士K 久坂部羊 角川書店

久坂部羊の作品は『廃用身』を読んで以来、すっかりハマっているのだけれど、今回もなかなかの読み応えだった。

久坂部羊は現役医師と言うことで、医療や介護をテーマにした作品を得意としている。今回はズバッと直球を投げてきた。

今回は多少ネタバレ込みの感想になるので、ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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介護士K

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「死なせるのは慈悲なんです」―高齢者医療と介護の実態をえぐり出し、生と死のあり方を問う衝撃作!

有料老人ホーム「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。ルポライターの美和は虐待の疑いを持ち、調査をはじめる。

やがて虚言癖を持つ介護士・小柳の関与を疑うようになるが、彼にはアリバイがあった。そんななか、第二、第三の事故が発生する―。なぜ苦しむ人を殺してはならないのか。

現役医師でもある著者が、人の極限の倫理に迫った問題作。

アマゾンより引用

感想

この作品は実際にあった事件がモデルになっている。

ただ、この作品はルポルタージュでもなんでもなくて、あくまでも小説。そうは言っても比較的新しい事件がテーマになっているので「あっ…これって」と思う人は多いと思う。あらすじはこんな感じ。

物語の舞台は老人介護施設。

老人介護施設「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。しかも死亡事故は第2、第3と続いていく。ジャーナリストの美和は取材の中で、アヒル口が可愛いと評判の介護士、小柳恭平が老人達を殺害したのではないかと疑いを持つ。

小柳恭平(介護士K)は「長生きして苦しんでいる人は早く死なせてあげた方がいい」という考えの持ち節。

小柳恭平生い立ちは思想を浮き彫りにしていく中で介護の問題や老人医療の問題が浮かび上がってくる…って感じの流れ。

この物語の主人公は介護士Kこと小柳恭平なのだけど、介護施設の医師の黒原医師もなかなかの曲者で面白い。

黒原医師は久坂部羊の医療系作品には欠かせないクレイジー部門担当の医療従事者。黒原医師の意見は倫理的、法律的には完全にアウトなのだけど「まぁ…でも分かるな」と思わせてくるところが凄いと思う。

  • 苦しんで長生きする老人は殺してやった方がいいんじゃないの?
  • 介護施設での虐待は無くならないよね

この考え。人でなしっぽい感じがするけど、個人的には「そうだよね」と頷いてしまった。

私は介護職員ではないし、現時点では介護をしていない。

父は50代で亡くなっていだけど、肝炎からの脳症で最後は認知症と同じような症状に陥って徘徊したり、暴れたりと散々だった。その時、私は実の子ながら「もう死んで欲しい」と心から思っていた。

そして現在、71歳の母と近距離別居で関わっているけれど、この母が何かと厄介で実の親ながら「こんな状態で長生きして何が楽しいんだろう?」と思ってしまうことがある。

それだけに私は黒原医師や小柳恭平の考え方を否定する事が出来ないのだ。

思い入れたっぷりに読んでしまった訳だけど、小説としては『廃用身』ほどのインパクトはなかった。

小柳恭平と姉との関係はここで持ってくる事ではなかったように思、小柳恭平をクレイジーな人間として描いたことで、問題の本質がぼやけてしまった気がする。

私は小柳恭平の考え方やその行動は「誰でもやりかねないこと」と解釈しているけれど、小柳恭平をサイコパス的な存在にしてしまったことで「自分とは関係のない世界の物語」として受け止められてしまうかも知れない。

ちなみに。この作品は本質的には決着のつかないままで終わっている。

「俺たちの戦いはこれからだ!」的なラストだとも言えるし、読者に疑問を投げかけて終わったとも言える。解釈については各々で…としか言えない。

「大満足でした」とは言えないまでも、やっぱり上手い。

「介護・生・死」と言った問題は誰もが通る道だと思う。

40代以上の人なら読んでおいて損はない1冊。ただし、面白いかどうか…って事については一切保証しない。

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白い木蓮の花の下で
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