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映画『1917 命をかけた伝令』感想。

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『1917 命をかけた伝令』は2019年に公開されたアメリカ・イギリスの合作映画。

1917年2月9日から3月20日までの間に行われたヒンデンブルク線上の新しいポジションへのドイツ軍の撤退作戦「アルベリヒ作戦」にまつわる話ではあるけれど、主役も脇役もすべて架空の人物で物語自体は創作とのこと。

……とは言うものの「全編ワンカットに見えるように」と言うポリシーのもとに撮影されているせいか、リアリティのある映像が特徴で戦争映画が好きな人なら一見の価値はあると思う。

今回は軽くネタバレ的なことも書くので「ネタバレは絶対に嫌だぁ」って方はご遠慮ください。

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1917 命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令
1917
監督 サム・メンデス
脚本 サム・メンデス
クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
出演者 ジョージ・マッケイ
ディーン=チャールズ・チャップマン
マーク・ストロング
アンドリュー・スコット
リチャード・マッデン
クレア・デュバーク
コリン・ファース
ベネディクト・カンバーバッチ
音楽 トーマス・ニューマン
撮影 ロジャー・ディーキンス
編集 リー・スミス
公開 アメリカ合衆国の旗 2019年12月25日
イギリスの旗 2020年1月10日
日本の旗 2020年2月14日

あらすじ

作品の舞台は1917年4月6日。ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ最中。

西部戦線にいたドイツ軍は後退しはじめていたが、その後退はアルベリッヒ作戦に基づく戦略的なものであり、連合国軍をヒンデンブルク線まで誘引しようとしていた。

イギリス陸軍はドイツ軍の戦略を航空偵察によって把握した。エリンモア将軍は2人の兵士、ウィルとトムを呼び出し、このままでは明朝に突撃する予定のデヴォンシャー連隊第2大隊が壊滅的な被害を受けてしまため、作戦を中止するよう伝令を命じた。

のデヴォンシャー連隊第2大隊に情報を伝えるための電話線は切断されていて、直接現地へ行って連隊に作戦中止の情報伝えるしかなかったのだ。

第2大隊には1,600名の将兵が所属。その中にはトムの兄・ジョセフもいた。

「自分の兄がいる」と言うことで冷静さを失ったトムとウィルは敵地へと伝令に走るのだが…

ワンカットを意識した撮影の妙

『1917 命をかけた伝令』はワンカットを意識した撮影方法のおかげで、驚くほどリアリティを持った映像に仕上がっている。

伝令として走り続けるウィルと一緒に走っているような感覚でありながら、1シーン1シーンがすべて絵画のようにバッチリ決まっている。

計算され尽くした映像って、ここまでリアリティを表現出来るのかと感心してしまった。

『1917 命をかけた伝令』は映画の本編も楽しいけれど、本編を観た後でメイキング映像を合せてみることをオススメしたい。

「あの場面はこんな風に撮影されていたのか」と思うと「もう1回観たいな」みたいな気持ちになってしまうこと請け合い。

お人好しゆえに死んでしまう

ウィルとトムの道行きは苦難の連続で、観ていて疲れてしまうほど。

そんな中、2人はドイツ軍に破壊された村にたどり着く。一瞬、空気がゆるむのだけど、

英国の攻撃に被弾したドイツ軍戦闘機が墜落してくる。

ウィルとトムは操縦席で身動きが出来なくなっているドイツ兵を救助する。

大怪我をしているドイツ兵を見たウイルは「楽にしてやろう」と言うのだけど、トムは「水を飲ませてやろう」と言う。ウイルはトムの意見に従って、井戸に水を汲みに行くのだけど、トムは瀕死のドイツ兵に腹を刺されて死亡する。

この場面…ちょっとキツ過ぎた。

戦争中に敵兵を助ける…っだけでもお人好しだし「水を飲ませてやりたい」とか「トムはどんだけイイ奴なんだよ?」って話。だけど、このお人好しさが仇となって、トムは命を落としてしまう。

「トムがもうちょっと要領が良くて悪い奴だったら殺されることもなかったのに」と思ってしまった人は私だけではなかったと思う。

戦争で戦っていた兵士たちの多くはトムやウイルのような普通の若者だったんだろうな…ってことを改めて感じさせられた。

命をかけた働きだったけど……

ウィルの頑張りによって、作戦は中止となりデヴォンシャー連隊第2大隊の壊滅は免れることが出来た。しかし「ウィルの活躍によって世界に平和が訪れました。めでたしめでたし」とはいかないのだ。

一兵卒のウィルが活躍したところで戦争は終わらない。

戦場で戦っている兵士達は本部から「突撃せよ」と言われたら突撃しなければならないし、国に帰れる目処は経っていない。

使命を果たし、疲れ果てて草原に立つウィルの徒労感を思うと、いたたまれないも気持ちになってしまった。

戦争映画の中にはラストでカタルシスを感じるようなタイプの作品もあるけれど『1917 命をかけた伝令』は「良い作品だった」と思うものの、後味は悪い。

 

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