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映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』感想。

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『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は、2015年公開のインド映画。インド人の青年と言葉を話すことが出来ないパキスタンの少女の旅を描いた感動系ロードムービー。

インドでは『ダンガル』『バーフバリ』に映画歴代興行成績No.3を記録している。

インド映画ブームと言うと20年ほど前にラジニカーントの『ムトゥ 踊るマハラジャ』で「インド映画はとりあえず歌って踊るものだ」と刷り込まれていたので「感動系ロードムービーで踊るのは無理なのでは?」と思って視聴したのだけれど、歌って踊る場面はバッチリ挿入されていて、インド映画って、感動系だろうがなんだろうが歌って踊らずにはいられないんだ…と妙に感心してしまった。

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バジュランギおじさんと、小さな迷子

バジュランギおじさんと、
小さな迷子
Bajrangi Bhaijaan
監督カビール・カーン
脚本カビール・カーン
パルヴィーズ・シャイク
K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
カウサル・ムニール(英語版)
原案K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
製作ロックライン・ヴェンカテーシュ(英語版)
サルマン・カーン
カビール・カーン
出演者サルマン・カーン
ハルシャーリー・マルホートラ
ナワーズッディーン・シッディーキー
カリーナ・カプール(英語版)
音楽プリータム(英語版)
ジュリアス・パッキャム(英語版)
公開インドの旗 2015年7月17日
日本の旗 2019年1月18日

あらすじ

パキスタンのスルターンプリ村に住む少女シャヒーダーは生まれつき言葉を話すことが出来なかった。

思い悩んだシャヒーダーの母は村の長老の勧めでインド・デリーのニザームッディーン廟に参拝するため、シャヒーダーを連れてインドに向かう。

しかし、国境検問所ワーガ付近で列車が停車中にシャヒーダーがうっかり列車を降りてしまい、動き出した列車に置き去りにされる。

シャヒーダーがいないことに気付いた母は娘を探そうとするが、列車はすでに国境を越えていたため探しに向かうことができなかった。

一方、インドに取り残されたシャヒーダーは貨物列車に乗り込みハリヤーナー州クルクシェートラに辿り着く。

そこでシャヒーダーはハヌマーン(ヒンズー教の猿の神さま)を信仰するインド人のパワン(バジュランギ)と出会う。

パワンはクルクシェートラ警察にシャヒーダーを預けようとするが断れてしまったため、彼女を連れて自身が暮らすデリーに向かう。

パワンは婚約者ラスィカーの自宅にシャヒーダーを住まわせて彼女の故郷を探そうとするが、ラスィカーの父ダーヤナンドは難色を示す。

……と言うのも、ダーヤナンドはラスィカーが縁談を反故にしてパワンと婚約したことを快く思っていななかったのだ。

ダーヤナンドはパワンに「半年の間に自分の力で家の購入費を稼ぐこと」を結婚の条件として提示しており、シャヒーダーの故郷探しよりも約束を優先するように迫っていた。

ある日、街中ではぐれたシャヒーダーがモスクに入りサラートを行っている姿を目撃したパワンは、彼女がムスリムであることを知る。

さらにクリケットのテレビ中継でシャヒーダーがパキスタン選手団を応援していたことから、彼女がパキスタン人であることが判明。

パキスタンを嫌悪するダーヤナンドは激怒し、シャヒーダーをパキスタン大使館経由でパキスタンに追い返すようにパワンに促すが、大使館は反パキスタン暴動の影響で閉鎖されてしまう。

困り果てたパワンはダーヤナンドの知り合いの旅行代理店に助けを求め、シャヒーダーを預けて帰ろうとする。

しかし、思い直して旅行代理店の男を追うと、彼はシャヒーダーを売春宿に売り飛ばそうとしており、激怒したパワンは男や売春宿の人間からシャヒーダーを取り戻し、自分の力で彼女を両親のもとに送り届けようと決意する。

パワンとシャヒーダーは事情を知った密入国業者ボー・アリや国境警備隊の協力でパキスタンに入国するが、途中で警察にスパイ容疑で逮捕される。

警察署を脱走したパワンは、警察署にあったカレンダーの写真が故郷の場所だと示すシャヒーダーに促され、その場所を探すことを決意。特ダネ目的で2人を追ってきたTVリポーターのナワーブも、事情を知って2人に協力を申し出る。

途中、モスクで一夜を明かした3人は宗教学者アサドの協力で写真の場所を探し、シャヒーダーの故郷がアザド・カシミール付近らしいと聞かされる。

ナワーブはパワンとシャヒーダーがが聖廟に巡礼に行っている間にYouTubeに映像をアップロードしてシャヒーダーの両親を探そうとする。

彼がアップロードした映像にシャヒーダーの母が映り込んでいることを知ったパワンとナワーブは、彼女が乗っていたバスを見付け出し、シャヒーダーの故郷がスルターンプリであることを突き止める。

しかし、途中で警察の検問に遭遇したため、パワンが囮になって警察を引き付け、ナワーブはシャヒーダーを連れてスルターンプリに到着し、彼女は母と再会する。

しかしパワンは警察に逮捕されスパイ容疑をかけられ拷問を受けることになり……

美少女とイケメンのロードムービー

とりあえず。シャヒーダーの猛烈な可愛さを見て戴きたい。日本人にはイマイチ馴染みの薄いパキスタンは、イスラム教国。7つの民族からなる国で混血が進んでいるせいか、猛烈な美男美女が多い。

シャヒーダーの美少女っぷりは「2次元から出てきた」と言っても通じるんじゃないかと思うほどの愛らしさで、とりあえず「可愛いは正義」を地で行く感じ。

そして主人公のパワンのイケメンっぷりも凄い。

インド映画ってイケメンと言っても微妙なことも多いのだけど、パワンは顔も良ければ身体もマッチョで男前。イケメンと美少女のロードムービー。それだけで絵になると映像として眼福感があった。

インドとパキスタン関係を知る

さて。『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を観るとするなら、インドとパキスタンのお約束を知っておく必要がある。

インドと言うと、私達日本人にも深く関わる仏陀生誕の国。だけど仏教徒は少数派でヒンズー教徒が多く、ヒンズー教の次にイスラム教が多いみたい。そしてヒンズー教徒とイスラム教徒はイマイチ仲がよろしくない。

  • 迷子のシャヒーダーはパキスタン人のイスラム教徒
  • 主人公パワンはインド人のヒンズー教徒

そして大問題なのがパキスタンはインドは仲が悪い…ことだ。隣り合っている国がギスギスしているのは、どこの国でもあるあるなもかも知れないけれど、とにかく国境を越えるのも大変だし、それぞれの国民は互いを良く思ってない。

普通に考えると「インド人がパキスタン人を助ける」なんてありえない設定らしいのだけど「国境や宗教を越えて人として正しいことをする」と言うのが『バジュランギおじさんと、小さな迷子』の大きなテーマになっている。

インド映画税が高過ぎる…

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は全人類にオススメしたいくらい良い映画…と言いたいところだけど、いかんせん「インド映画税」が高過ぎる気がした。

上映時間は2時間43分もあるのだけど、そのうち1時間以上は謎過ぎる歌と踊りだと思われる。物語の本筋だけを追うのであれば、1時間半で充分まとまる話を2時間43分かけて観る必要があるのだ。

「歌って踊るのがインド映画なんだよ」と言われてしまえばそれまでだけど、本筋と関係ない恋愛をからめた歌と踊りや「そこまでやらなくていいのでは?」としか思えない謎のアクション系ミュージカルターンは正直苦痛だった。

テーマ自体は素晴らしいし、本筋も感動的なのにインド映画税が高過ぎてちょっと残念な気がした。余計なところを省いたら、ぶっちぎりで有名どころの映画賞を獲れたと思う。

愛だね…ってことでひとつ

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』は残念要素がガッツリ入っているものの、勉強も仕事も出来いけれど、心正しいパワン青年が、迷子になってしまったシャヒーダーを親元に送り届けるために奮戦する姿は感動的だった。

なんと言うのかな…日本映画で例えるならパワンは「綺麗な寅さん(男はつらいよ)」って感じ。駄目っ子なところもあるけれど、愛さずにはいられないような良い奴なのだ。

そしてラストで多くの人達がパワンの心に触れ、パワンに力を貸してくれるくだりは実に素晴らしい。

パワンのような心の人が増えれば、「仲良くなる」とまではいかなくても、国同士の諍いも最悪のシナリオに突入しない気がする。

本筋に関係ない歌と踊りを許容する(もしくは早送りするか)ことが出来るのなら、感動的な作品だと思った。

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白い木蓮の花の下で
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